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 公開日:2016年12月22日 

福島の子供よりも東電が大事→東京電力社員が甲状腺がん初の労災認定

福島原発を歩く原発作業員
2016年12月16日、富岡労働基準監督署(福島県広野町)は、福島第一原発事故の収束作業に従事し、その後甲状腺がんと診断されていた40代の東電社員の男性を労災と認定しました。※1

もちろん労災認定によって、この東電社員の男性は、無料でのガン治療や通院費の全額支給など労災保険による手厚い医療補償が受けられることになります。※2

被曝による甲状腺がんが労災認定されたのは、日本で初めてとなります。

驚かれるかもしれませんが今まで日本には、労災における甲状腺がんの認定基準も目安さえ存在しませんでした。

しかし今回の甲状腺がんの労災認定の公表とあわせて厚生労働省は『(甲状腺がんの)当面の労災補償の考え方』という甲状腺がんの労災認定の3つの判断の目安をしてしてきました。※3

甲状腺がんの労災認定の3つの判断の目安…具体的には(1)被ばく線量(2)潜伏期間(3)リスクファクターのそれぞれの内容をまず見てみましょう。

(1)被ばく線量
甲状腺がんは、被ばく線量が100mSv以上から放射線被ばくとがん発症との関連がうかがわれ、被ばく線量の増加とともに、がん発症との関連が強まること。
(2)潜伏期間
放射線被ばくからがん発症までの期間が5年以上であること。
(3)リスクファクター
放射線被ばく以外の要因についても考慮する必要があること。

厚生労働省は、この3つの甲状腺がんの労災認定の目安を総合的に判断して労災認定の可否を決めるとしています。※3

では今回の甲状腺がんを発病した東電社員の男性は、3つの判断の目安をすべて満たすから労災認定されたのでしょうか?

1つ1つ見ていきましょう。

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その前に前提知識を少し。この東電社員の男性は、1992年に東京電力に入社、福島第一原発など原子力発電を担当する部門に所属していました。福島第一原発事故での収束作業については事故直後の2011年3月~2012年4月まで1年1ヶ月間、原子炉の計器類の確認作業などを担当していました。※1

では甲状腺がんの労災認定の目安。1つ目、被ばく線量を見てみましょう。

(1)被ばく線量
甲状腺がんは、被ばく線量が100mSv以上から放射線被ばくとがん発症との関連がうかがわれ、被ばく線量の増加とともに、がん発症との関連が強まること。

この東電社員の男性の1992年に東京電力に入社してから20年間の累積被曝は149.6ミリシーベルト。※1

と、言っても累積被曝149.6ミリシーベルトのうち福島第一原発事故後の事故収束作業における累積被曝が139.12ミリシーベルトと全体の92%を占めます。

1つ目の目安である被ばく線量が100mSv以上は満たせそうですね。

甲状腺がんの労災認定の目安。2つ目は、潜伏期間。

(2)潜伏期間
放射線被ばくからがん発症までの期間が5年以上であること。

東電社員の男性は、福島原発事故から3年1ヶ月後の2014年4月に甲状腺がんと診断されました。※1

つまり…この東電社員の男性は甲状腺がんの労災認定の目安。2つ目の『潜伏期間』…がん発症までの期間が5年以上、という目安は満たしていません。

なのに東電社員は労災認定されてる。

「いや、原発労働者の労災認定は元々ゆるゆるなんじゃないの?」

と被ばくの労災認定がどれだけ狭き門か…知らない人は、そう思うかもしれませんが、違います。

例えば福島原発事故の収束作業に参加した原発作業員で、被ばくによってガンになったと労災で認定されたのは今回で3人目です。

福島第一原発事故と労災認定
労災認定 病名 累積被曝 年齢性別
1 2015年10月 白血病 19.8mSv 40代男性
2
2016年08月 白血病 54.4mSv 50代男性
3
2016年12月 甲状腺癌 149.6mSv 40代男性

なお福島第一原発事故の収束作業に参加した元原発作業員や東電社員のうち…がんを発病し労災保険の労災を申請した人は現在まで合計11人います。

上記の一覧表にある3人だけが労災認定され3人は不支給決定、1人は労災申請の取り下げ、4人は調査中となっています。※4

福島原発事故と労災申請(合計11人)
労災認定 調査中 不支給決定等
3人 4人 4人

見ての通り被ばくによる労災認定…実はハードルが、かなり高いのです。

もっとわかりやすい事例をお話します。日本は2016年現在でも世界3位…43基もの原発を1国で抱える原発大国です。ちなみに福島原発事故を起こした2011年はもっと多く54基もの原発がありました。(世界の原子力発電所分布地図&原発数の国別ランキング日本は何位?を参照)
原発日本地図と原発の30km圏内

ここで、あなたに1つ質問します。日本の原発作業員で、被ばくによる労災を認定された人は今まで合計何人いるでしょうか?

1000人?

10000人?

いいえ。

もっと驚くような人数です。

答えを見てみましょう。

下記の一覧表が原発労働者の労災認定数(病気別)です。

原発労働者の労災認定数(病気別)
病名 人数
白血病 8人
悪性リンパ腫 5人
多発性骨髄腫 2人
甲状腺がん 1人
合計 16人

答え16人。日本には…たった16人しか被ばくで労災認定された原発作業員は存在しないんです。今まで40~50基もの原発を10~40年も運転してきたのに…被ばくによって労災認定された原発労働者はたった16人。異常なほど少ないのがわかると思います。※4

日本の原発作業員達は、病気になっても自己責任という内容の誓約書を入社時に書かされていたり、勤めている会社がそもそも労災保険に加入していなかったりなどの理由で労災を申請できないと思い込んでいる人が多くいたのです。

そしてガンになっても労災を申請できないと思い込んだまま亡くなる方がほとんどでした。※これらのケースでも労災申請できます

しかも労災を申請しても、なかなか労災認定してもらえないのが実情なのです。

だから16人しか被ばくで労災認定された原発作業員は存在しないんです。

今回、東電社員の男性が甲状腺がんで労災認定されたことについて産経新聞の取材に対し厚生労働省は以下のように回答しています。※5

厚生労働省
「医学的な因果関係の証明はできていないが、専門家から示された目安を総合的に勘案し、労災を認めた」

繰り返しますが東電社員の男性は、福島原発事故から3年1ヶ月後の2014年4月に甲状腺がんと診断されました。

つまり…この東電社員の男性は甲状腺がんの労災認定の目安。2つ目の『潜伏期間』…がん発症までの期間が5年以上、という目安については満たしていないんです。

なのに厚生労働省は、東電社員を労災認定した。

そして東電社員の男性は、無料でのガン治療や通院費の全額支給など労災保険による手厚い医療補償が受けられることになります。

福島県で甲状腺がんになった174名の子供達とは、違ってです。

福島県子供の甲状腺がん市町村別地図2016年6月30日版
※詳しくは福島の甲状腺がんと子供達→原発事故の現在は?をご覧下さい。

何度も繰り返し言いますが東電社員の男性は、福島原発事故から3年1ヶ月後の2014年4月に甲状腺がんと診断されました。

では福島県の子供達で、ほぼ同じ時期2014年4月1日以降に甲状腺がんと診断された子供達は何人いるのでしょうか?人数の推移がわかる一覧表を見てみましょう。

福島県の小児甲状腺がん患者数と比率の推移
年月日 患者数 患者は何人に1人いる?
2013年12月31日 74人 3639人に1人
2014年3月31日 89人 3320人に1人
2014年6月30日 103人 2874人に1人
2014年10月31日 112人 2648人に1人
2014年12月31日 117人 2551人に1人
2015年3月31日 126人 2377人に1人
2015年6月30日 126人 2193人に1人
2015年9月30日 151人 1989人に1人
2015年12月31日 163人 1843人に1人
2016年3月31日 172人 1746人に1人
2016年6月30日 174人 1726人に1人

上記の一覧表の2014年3月31日は、2011年福島原発事故後から2014年3月31日までの間に福島県民健康調査で甲状腺がんと診断された子ども達の人数89人がわかります。そして最新の患者数は一覧表の一番下2016年6月30日174人ですから引き算することで、今回、労災認定された東電社員と同時期以降に甲状腺がんと診断された子ども達の人数がわかります。

174人89人=85人

つまり福島県で見つかった甲状腺がんの子ども達174人のうち85人、パーセントで言えば48%…約半分が今回、労災認定された東電社員と同時期以降に甲状腺がんと診断された子ども達なのです。

なのに福島県の甲状腺がんになった子供達は、何の医療補償も受けられていません。

もちろん福島原発事故後の2012年10月から福島県は、18歳以下の福島県民の医療費を無料化しています。しかし対象は、あくまで18歳までであり、しかも福島県外に住民票を移動させれば、その時点で医療費の無料化対象から外れてしまいます。※6

つまり福島県がおこなっている福島県民の18歳以下の医療費無料化は、福島県内へ若年層を引き留めるための単なる政策に過ぎないのです。だから住民票を福島県外に移動させれば、その時点で「さようなら」となるわけです。※7

福島県の甲状腺がんになった子供達は、福島県外へ住民票を移したり18歳以上になったら、自己負担で…一生続く甲状腺ホルモン剤の購入費用、経過観察のための検診費用、そして甲状腺がんの再発と向き合わなくてはなりません。

かたや東電社員の男性は、無料でのガン治療や通院費の全額支給まで労災保険による手厚い医療補償が受けられます。

この差は、いったい何?

私達、福島県民の子供達174人の命は…東電社員の40代男性の命より安い。

福島県民の子供達174人の命は、価値がないのでしょうか?

もちろん私達の、この問いに厚生労働省は、いや、そもそも(1)被ばく線量が全然違う。東電社員のほうが福島の子供達よりずっと被曝していると反論するでしょう。

(1)被ばく線量
甲状腺がんは、被ばく線量が100mSv以上から放射線被ばくとがん発症との関連がうかがわれ、被ばく線量の増加とともに、がん発症との関連が強まること。

しかし東電社員と福島の子供達の(1)被ばく線量を比較するには、その大前提として両者の被曝線量の実測データが揃っている必要があるはずです。

東電社員の40代男性については、ポケット線量計(APD)やガラスバッチ(GB)で外部被ばくの線量を、ホールボディカウンターで内部被ばくの線量を定期的に測定、記録してきたでしょうから改ざんや隠ぺいなど特殊な事情がない限り、この東電社員の累積被曝線量は149.6ミリシーベルトと考えられます。

しかし、ほぼすべての福島の子供達は、そもそも自分の被曝線量の実測データ自体が存在しません、外部被ばくも内部被ばくもです。なお、ごく一部の子供達だけ日本政府や弘前大学による甲状腺被曝の実測データが存在します。SPEEDI甲状腺被曝調査の致命的ミスを今、暴露する!実測結果まとめから一部抜粋します。

【1】日本政府現地対策本部医療班

まず日本政府現地対策本部医療班は、福島原発事故直後の2011年3月26~30日に福島県(いわき市、川俣町、飯館村)で1080人子供達(0~15歳)に実施したシンチレーションサーベイメーターを使った簡易な甲状腺の被曝調査を実施しています。※9

いわき市・川俣町・飯館村の甲状腺被曝調査の概要
いわき市 川俣町 飯館村 3市町村
35~16mSv 26人
15~0.1mSv 456人
ND 55人 434人 109人 598人
合計 134人 631人 315人 1080人

【2】弘前大学の床次眞司教授グループ

弘前大学の床次眞司教授のグループが福島原発事故から1か月後の2011年4月12~16日に福島県の浪江町民17人、福島市に避難していた南相馬市民45人の合計62人に対しガンマ線スペクトロサーベイメータを使った甲状腺の被曝調査を実施しています。※9

この合計62人のうち0~9歳が5人、10~19歳が3人います。

南相馬市と浪江町の被験者の年齢別一覧表、甲状腺等価線量別の棒グラフ

福島県による県民県健康調査の甲状腺がん検査の対象の子供達は、2011年3月11日時点で概ね18歳以下だった者ですから19歳は対象外ですが、資料から除外できないため0~9歳が5人、10~19歳が3人、つまり合計8人とします。

まとめます。まず甲状腺被曝検査を受けることができた福島県の子供達の人数は…

甲状腺被曝検査と福島の子供
弘前大学 日本政府
最大値 8人 1080人

8人+1080人=1088人

つまり甲状腺被曝検査を受けることができた福島県の子供達の人数は1088人となります。

それに対して福島県による県民健康調査…いわゆる甲状腺がん検査の対象となる福島県の子供達の人数は、36万7672人(先行検査)です。※10

1088人÷36万7672人=0.00295915925

つまり甲状腺がん検査の対象となる福島県の子供達のうち、原発事故の最中に実際に甲状腺を被曝したか?被曝していないか?検査を受けられたのは、たった0.2%にすぎないのです。

それをいいことに福島県は、2011年6月から『基本調査』と称しおこなった…福島原発事故当時の子供達の行動記録と時間ごとの放射線量分布地図を使って推計したにすぎない外部被ばく線量…下の図がその推計方法ですが。※11※12
fukushima-workaccident

福島県は、子供達の行動記録と時間ごとの線量分布地図を使って推計したにすぎない外部被ばく線量を、あたかも甲状腺被ばく検査の実測データであるかのように使い、甲状腺がんになった子供たちは1mSv未満の方が46人(70.8%)で最大実効線量は2.2mSvであったなどと自ら福島原発事故と子供達の甲状腺がんの因果関係を否定し、甲状腺がんになった子供たちを奈落の底へと突き落としてします。※10

しかし問題は内部被爆なんです。外部被ばく線量をいくら推定しても、内部被爆が抜け落ちたままでは片手落ちにすぎません。そうですヨウ素131によって甲状腺がどれくらい被ばくしたか?は、引き続き深い闇のままなんです。

福島県では今、甲状腺がんの子供達が174人まで増えてしまいました。

福島県子供の甲状腺がん市町村別地図2016年6月30日版

最後に甲状腺がんの労災認定の3つの判断の目安…3つ目を見てみましょう。

(3)リスクファクター
放射線被ばく以外の要因についても考慮する必要があること。

もし今…福島県で起きている子供達の甲状腺がんの多発に、東電が起こした福島原発事故以外の要因があるというのなら、ぜひとも具体的に教えてほしいものです。

最後に私から、この記事を読んで下さった…あなたに質問します。

福島県子供の甲状腺がん市町村別地図2016年6月30日版

甲状腺がんを発病した174人の子供達の命は、東電社員の40代男性の命よりも軽い。

福島の甲状腺がんを発病した174人の子供達は、生きる価値がないのでしょうか?

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※1http://www.jiji.com/jc/article?k=2016121600838&g=soc
※2http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000081118.html
※3http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000146085.html
※4http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/genchicyousei/2015/pdf/1030_01k.pdf
※5http://www.sankei.com/life/news/161216/lif1612160035-n1.html
※6https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21035a/kodomoiryouhi.html
※7厳密に言えば福島県民の18歳以下の医療費無料化の実施主体は福島県でなく各市町村。福島県は市町村が助成した額を補助する。
※8http://www.fmu.ac.jp/radiationhealth/workshop201402/presentation/presentation-3-1-j.pdf
※9http://tokoslab.weebly.com/uploads/2/1/8/7/21875738/2014.2.22__.pdf
※9http://www.jaero.or.jp/data/02topic/fukushima/interview/tokonami_t.html
※9http://www.city.sanjo.niigata.jp/common/000065217.pdf
※9http://www.fmu.ac.jp/radiationhealth/workshop201402/presentation/presentation-3-1-j.pdf
※10http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/167944.pdf
※11http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/51049.pdf
※12https://www.env.go.jp/chemi/rhm/kisoshiryo/attach/20140707mat2-06-1.pdf

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