2017年9月3日に核実験が行われた北朝鮮の北東部にある咸鏡北道吉州郡の豊渓里(プンゲリ)の地図

■韓国の原子力安全委員会の調査結果

【ニュース速報】2017年9月8日、北朝鮮と国境を接している韓国の原子力安全委員会は、韓国国内の陸上に設置した固定式捕集装置で放射性核種キセノン133(Xe-133)が微量(0.43mBq/m3)検出されたと発表した。

同時に実施している空中と海上での収集したサンプルの調査結果からはキセノン133は検出されなかった模様。

なお環境放射線レベルは通常レベルを維持している。韓国の原子力安全委員会は、この陸上で捕獲されたキセノン133が北朝鮮の6回目の核実験由来のものか?について現在、調査をおこなっている。※12

WSPEEDI-Ⅱによるキセノン133の拡散予測地図の最新版(2017年9月4日9時~9日18時まで)も載せておきます。

北朝鮮の核実験実施を想定したWSPEEDI-Ⅱによるキセノン133の放射能拡散予測地図2017年9月4日~9月9日

■スピーディによる放射能拡散予測

まず2017年9月3日に北朝鮮が実施した核実験は地下核実験と考えられています。ですから通常は大気中に放射性物質が放出されることは考えられません。しかし地下核実験なら絶対に大気中に放射性物質が放出されることはないか?と聞かれれば答えは「No!」です。

数々のミスや想定外が重なれば大気中に放射性物質が放出されることもあります。だからこそ日本はじめとする各国政府が必死に放射能の測定(モニタリング)体制を強化しているわけです。

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そう前置きした上で原子力規制庁が公表したWSPEEDI-Ⅱによる放射能拡散予測の最新版(2017年9月4日9時~9日18時まで)を見てみましょう。WSPEEDI-Ⅱで公表されたデータの中からヨウ素131の地表面をピックアップし見やすいように私のほうでgif動画に編集しました。なおWSPEEDI-Ⅱの仮計算の日付が異なるものが複数発表されている場合は、より日付が核実験に近い方を採用しています。※7

北朝鮮の核実験実施を想定したWSPEEDI-Ⅱによるヨウ素131の放射能拡散予測地図2017年9月4日~9月9日

万が一、放射性物質が放出された場合に日本のどの都道府県に飛来するのか?がわかります。しかし飛来しないとされた都道府県にお住いの皆さんも油断はせず情報収集と自衛措置を続けてください。

日本にお住いの皆さん…念のため雨に直接、当たらないで下さい。そのために傘や雨がっぱを使いましょう。外出の際はマスクするのも忘れずに。もちろん不要な外出は控え、テレビやインターネットを使って情報収集を続けて下さい。

もし、まだヨウ素剤を持っていないなら…放射性ヨウ素の被曝対策として購入しておいても良いかもしれません。私は自宅、そして仕事で持ち歩くバックの中にヨウ素剤を入れて24時間いつも手元にあります。

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※現時点では、この核実験による放射性物質の日本への飛来はありませんのでヨウ素剤を飲む必要は、一切ありません。

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■原子力規制庁の発表した調査結果

調査結果の概要と核実験の日本への影響
調査方法 発表日 調査結果
空間線量率 9月8日 影響○なし
大気浮遊じん高空 9月7日 影響○なし
大気浮遊じん地上 9月8日 影響○なし
降下物 9月8日 影響○なし
キセノン地上 調査未定 調査未定

2017年9月8日、原子力規制庁は47都道府県にあるモニタリングポストによる空間線量率の測定結果(2017年9月3日13時~9月8日12時)に特別な変化は見られなかったと発表しました。※7

2017年9月7日、防衛省航空機による高空の大気浮遊じん(2017年9月4日~6日採取分)の核種分析調査結果は人工放射性核種は検出されませんでした。※7

2017年9月8日、47都道府県の地上の大気浮遊じんの採取(2017年9月3日14時30分~9月7日9時)を行い核種分析を実施した結果は人工放射性核種は検出されませんでした。※7

2017年9月8日、47都道府県の降下物(降水を含む)の採取(2017年9月3日14時30分~9月7日15時)を行い核種分析を実施した結果は北朝鮮の核実験由来と考えられる人工放射性核種は検出されませんでした。※7

防衛省は下記の画像のように、各地の自衛隊の駐屯地からT-4中等練習機を発進させ核実験によって発生した可能性のある大気中の放射性物質の有無を測定・調査しています。
核実験を受けて放射性物質の測定調査のため飛び立つT4練習機

■中国の環境保護省の調査結果

調査結果の概要と核実験の中国への影響
調査方法 発表日 調査結果
空間線量率 9月8日 影響○なし
大気浮遊じん地上 9月8日 影響○なし
降下物 9月8日 影響○なし
希ガス 9月8日 影響○なし
地表水・地下水 9月8日 影響○なし
土壌 9月7日 影響○なし

北朝鮮と国境を接している中国の環境保護省によると中国の現地時間2017年9月8日16時現在、黒竜江省、吉林省、遼寧省、山東省に設置されている38あるモニタリングポストの空間線量率に核実験の影響は確認されていません。※8

なお日本から見た中国との時差は、マイナス1時間ですから日本時間で言えば2017年9月8日17時時点の空間線量率に核実験の影響は確認されていないことになります。

地図の真ん中の…やや右にあるが核実験が行われた場所…豊渓里(プンゲリ)です。

がモニタリングポストです。

中国の地図と黒竜江省、吉林省、遼寧省、山東省に設置されている38あるモニタリングポストの場所

中国の環境保護省の2017年9月8日の発表によると、黒竜江省、吉林省、山東省、遼寧省でおこなわれた地上の大気浮遊じん(2017年9月3日~8日採取分)の核種分析を実施した結果は人工放射性核種は検出されませんでした。※10

また中国の環境保護省の2017年9月8日の発表によると、黒竜江省でおこなわれた降下物(降水を含む)の採取(2017年9月3日~9月8日)を行い核種分析を実施した結果は北朝鮮の核実験由来と考えられる人工放射性核種は検出されませんでした。※10

また中国の環境保護省の2017年9月8日の発表によると、黒竜江省、吉林省、山東省、遼寧省でおこなわれた希ガスのヨウ素の放射性同位体(2017年9月3日~8日採取分)の有無を調査した結果も人工放射性核種は検出されませんでした。※10

さらに中国の環境保護省の2017年9月8日の発表によると、吉林省、山東省、遼寧省でおこなわれた地表水や地下水(2017年9月4日~6日採取分)の調査結果でも人工放射性核種は検出されませんでした。※10

なお中国の環境保護省の2017年9月7日の発表によると、黒竜江省、遼寧省でおこなわれた土壌モニタリング(2017年9月6日~7日採取分)の調査結果では、ヨウ素131とバリウム140が不検出なのに対し、セシウム137が1キログラムあたり1.8~4.1ベクレル検出されていますが、今回の北朝鮮の核実験に実施された土壌検査でも同程度のセシウム137が検出されているため、今回の北朝鮮の核実験由来の人工放射性核種とは考えにくいです。※10

中国の環境保護省の土壌モニタリングで黒竜江省、遼寧省からセシウム137が検出されたがもっとも北朝鮮の核実験場である豊渓里(プンゲリ)に近い吉林省が未検査の件

ただ1点だけ気になるのが、北朝鮮の核実験場のある豊渓里(プンゲリ)にもっとも近い吉林省だけ土壌モニタリングの調査結果が公表されてないので…その点だけナゼ?なんですけど。でも今後、公表される可能性もあるので、あまり突っ込まないでおきます。

■ロシアの沿海地方気象庁の調査結果

同じく北朝鮮と国境を接しているロシアの沿海地方気象庁によると2017年9月4日現在、放射線レベルは平常通りです。※9

■北朝鮮の核実験の時系列

日本時間の2017年9月3日お昼の12時29分頃、北朝鮮の北東部にある咸鏡北道吉州郡の豊渓里(プンゲリ)を震源とするマグニチュード6.1の地震がありました。地震の深さ0キロメートルです。※1

豊渓里(プンゲリ) は、北朝鮮でただ1つの核実験場がある場所です。
北朝鮮の核実験場である豊渓里(プンゲリ)の地図

この地震について日本の気象庁は、本日の2017年9月3日14時15分から記者会見をおこないました。その中で気象庁の松森敏幸地震津波監視課長は、今回の地震をこう述べています。※2
気象庁の松森敏幸地震津波監視課長

気象庁の松森敏幸地震津波監視課長
「今回の揺れの規模はマグニチュード6.1と推定しているが、これまで北朝鮮北東部で(核実験のたびに)観測された(地震の)揺れと比べて規模が大きく、誤差を考慮しても現時点では少なくとも(過去の地震の)10倍程度は大きいと考えている」

北朝鮮はまだ公式発表をしていませんが、もし今回の揺れが核実験であれば…北朝鮮は6回目の核実験をおこなったことになると同時に過去最大規模の核実験をおこなった可能性があります。

なお、これから北朝鮮の国営放送である朝鮮中央テレビが本日2017年9月3日15時30分から臨時ニュースとして核実験をおこなった旨を表明すると考えられます。※3

【2017年9月3日16時12分追記】

2017年9月3日15時30分、北朝鮮の国営放送である朝鮮中央テレビは6回目の核実験(水爆)を行ったことを発表しました。声明内容の抜粋は以下です。※6
北朝鮮の国営放送である朝鮮中央テレビのアナウンサー

朝鮮中央テレビ
「大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載するための水爆の爆発実験を行い、核物質の外部への流出もなく成功した」

このように北朝鮮は今回の6回目の核実験でも核物質の外部への流出もないと強調しています。しかし韓国の脱北者支援団体が地下核実験場のある豊渓里(プンゲリ)周辺からの脱北者17人から話を聞いた結果、原因不明の頭痛や視力の低下、不眠を経験していたり。他にも韓国政府の洪容杓(ホン・ヨンピョ)統一部長官は2016年8月29日に「豊渓里(プンゲリ)周辺の地域住民の相当数ががんや心臓病、感覚器の異常や足の麻痺を訴えている」と語ったと韓国のKBSテレビが報道しています。※4
洪容杓(ホン・ヨンピョ)統一部長官
ですから北朝鮮がもし今回の6回目の核実験で核物質の外部への流出もないと語り…もしそれが本当だったとしても今までに散々、放射能漏れを起こしてきた可能性があるわけです。

当サイトが核実験のたびに日本周辺の放射能の測定データをまとめ続けているのも、もし放射能漏れを起こしていたとしても、放射能漏れを起こした側がその事実を素直に認めることのほうが稀だからです。そして放射能漏れが分かった時には、すでに手遅れだったりするからです、福島原発事故のときのように、です。

■地図で場所を確認

2017年9月3日に核実験が行われた北朝鮮の北東部にある咸鏡北道吉州郡の豊渓里(プンゲリ) の地図

地図の真ん中の…やや右上にある×が核実験が行われた場所…豊渓里(プンゲリ)です。

■核実験当日の日本周辺の風向予報

今後の風予測(上空)も日本政府がスピーディ(SPEEDI拡散動画)を発表するまでの間の分を掲載しておきます。下記の風向予報は3時間ごとで、最初が2017年9月3日12:00つまり北朝鮮が核実験をする30分、次が2017年9月3日15:00ですから北朝鮮が水爆実験をした2時30分後と続いていき翌日2017年9月4日15:00で終了します。なお見やすいように私のほうでループ再生にgif動画を編集しました。※5

2017年9月3日12:00~2017年9月4日15:00
日本、韓国、北朝鮮のの風向き予測(2017年9月3日12:00~2017年9月4日15:00)

※1http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170903/k10011124401000.html?utm_int=all_side_ranking-social_005
※2http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170903/k10011124591000.html?utm_int=news_contents_news-main_003
※3http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170903/k10011124651000.html?utm_int=all_side_ranking-social_002
※4http://news.kbs.co.kr/news/view.do?ncd=3343392
※5https://weather.yahoo.co.jp/weather/wind/
※6http://news.kbs.co.kr/news/view.do?ncd=3543813
※6http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170903/k10011124861000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
※7https://www.nsr.go.jp/activity/monitoring/monitoring5.html
※8http://www.mep.gov.cn/gkml/hbb/qt/201709/t20170904_420831.htm
※8http://www.mep.gov.cn/gkml/hbb/qt/201709/t20170908_421153.htm
※9http://www.primgidromet.ru/news/radiacionnaya_obstanovka_v_primore_ostaetsya_stabilnoj/
※10http://www.mep.gov.cn/gkml/hbb/qt/201709/t20170904_420889.htm
※10http://www.mep.gov.cn/gkml/hbb/qt/201709/t20170907_421060.htm
※10http://www.mep.gov.cn/gkml/hbb/qt/201709/t20170908_421153.htm
※11http://www.nssc.go.kr/nssc/notice/report.jsp?mode=view&article_no=43740
※11http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2017/09/06/0900000000AJP20170906003900882.HTML
※12http://www.nssc.go.kr/nssc/notice/report.jsp?mode=view&article_no=43745

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