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 公開日:2014年6月1日 

内部被曝と外部被曝の決定的違い→γ線+危険なα線β線が体を破壊

質問(質問者:福島県/10代/高校生)
内部被曝と外部被曝の違いは何ですか?

回答(回答者:矢ヶ崎克馬琉球大学名誉教授)
矢ヶ崎克馬琉球大学名誉教授

■内部被曝と外部被曝の定義の違い

内部被曝体の中で発射された放射線で被曝をしてしまうことです。放射線を発する源…すなわち放射性原子を吸い込んだり食べたりして体の中に取り入れてしまって、体の中で放射線が発射される。

外部被曝放射線を発するもの源(放射線源、放射性原子)が体の外にあって、外から放射線が体に当たってくることです。

大雑把な見方をしますと
α(アルファ)線
β(ベータ)線
γ(ガンマ)線
という3種類の放射線が核分裂する原子あるいは核分裂した後の原子から出てくる放射線なんです。

外部被曝の場合にはγ(ガンマ)線だけにやられるという状態がもっとも普通の状態であると考えていいです。というのはγ(ガンマ)線は非常に遠くまで飛んでいきます。

α(アルファ)線β(ベータ)線というのは非常に短くしか飛ばないものです。

大雑把に言うと、福島で原子炉から飛び出した放射性のほこりそのものが人間の体から1メートルよりも遠くにあるとγ(ガンマ)線だけしか体に当たらない。α(アルファ)線は5センチメートル、β(ベータ)線は1メートルしか飛ばないのです。

それに対して内部被曝というのは、体の中の放射性物質から放射線が出てくるものだからγ(ガンマ)線に加え、α(アルファ)線β(ベータ)線も全部拾ってしまう危険な状態にあります。

α(アルファ)線β(ベータ)線γ(ガンマ)線が一つの放射性の埃(微粒子)の中の原子核から発射されるとします。
アルファ線、ベータ線、ガンマ線の違い

α(アルファ)線は、空気中でだいたい4cm~5cmで止まる。
β(ベータ)線は、1mで止まる。
γ(ガンマ)線は100mくらいまで飛ぶ。これだけの差があるんですね。

α(アルファ)線β(ベータ)線γ(ガンマ)線が止まる」といいますけれど、なぜ止まるのかということについての共通した原理があります。原理というのがですね、原子から放射線が発射されますが、発射された時のエネルギーが失われてしまうと止まってしまう。

放射線にエンジンが付いていてエンジンの力で掻き分け掻き分け進んでいくわけではないのです。

どうしてエネルギーが失われるかというと、放射線が「電離」という電子を吹き飛ばす作用を行うときに電離に必要なエネルギーが失われる。それで放射線は電離放射線って言われます。それが物理的な物の見方の基本なんですね。

そういうメカニズムでエネルギーを失うものですから長く行くということは、距離当たりの電離がまばらはものほど遠くまで飛ぶんですね。

α(アルファ)線β(ベータ)線γ(ガンマ)線が出発する時に持っているエネルギーは、絶対増えたりしない…減る一方なんです。減るメカニズムってのはまさに電離なんです。

電離とは、電子を原子から離してしまう…電子を原子から吹き飛ばす。
電離
吹き飛ばされると、実は原子と原子のつながりが切られてしまうことにつながっていくんですね。原子と原子が何でつながっているか?原子と原子の間の一番外側に回っている電子がペアになることによるんです。
ペア電子と電離
電子同士がペアになることで原子同士がつながるというメカニズムはね、人間の体であろうと鉄であろうと銅であろうとどんな物質であろうと完璧に同じこういうメカニズムでなんです。量子力学で交換相互作用だなんて言われています。うんと固い結びつきなんですがね。

ところが、放射線というのは、こういう風にせっかくペアになっている電子を吹き飛ばしてしまう。そうすると電子がペアになっていたからくっついていた原子がこのペアが壊されてしまうと、もうくっつく力がなくなってしまう。「分子」切断と私が言っている原子のつながりを切ってしまうわけです。

繋がっていてうまく働いている生命活動が、つながりを切られるものですから生命機能が働きにくくなってしまいます。ですから放射線は体にとって非常に危険なんです。

危険だというのは、人間のどんな細胞でもどんな体の部分でも、一つの生き物としての機能を発揮するためにはつながっていて正常なんですね。それが放射線でどんどん切られてしまうと、機能が正常に発揮できなくなるわけです。

もう一つは、切られたDNAがつなぎ間違えをするということでがんになったり遺伝的な障害につながったりします。2種類の悪い作用があるのです。

外部被曝はγ(ガンマ)線だけにやられると考えてよい。電離の密集度は散漫に与えられるので、こういう外部被曝のほうがどちらかというとやさしい被曝なんです。

ところが内部被曝というのは体の中から放射線が発射するものだからα(アルファ)線β(ベータ)線γ(ガンマ)線の全部が被曝に行きついてしまう。たとえば放射性微粒子…ほこりとも言ったりもしますが…直径が1μm(マイクロメートル)…単位を変え言うとこれは1ミリの千分の1、0.001mm(ミリメートル)、0.0001cm(センチメートル)ですが、これだけ小さい放射性のほこりは目に見えないけれど、1兆個の原子がある。そういう状態で1兆個の原子を抱えたほこりが体の中に入ってくるわけです。

水溶性ならば体の中に入ると埃自体が原子1個1個バラバラになってしまうのですが、不溶性(水にとけないこと)のものは微粒子のままの体の中の細胞膜を通り過ぎてあちこちに行く。

これの一番の大きな証拠写真というのが、長崎原爆で亡くなった被爆者の体の組織をアメリカ軍がアメリカに持って帰ってしまっていたものを、十数年前に日本が取り戻しました。この亡くなった被爆者の腎臓のサンプルから、今もなお放射線が出続けていることを示す写真※1を2009年長崎大学の七條和子助教らの研究グループが撮ることに成功しました。下の写真がそうです。この写真の特徴は1点から2本の放射線が出ていることなんです。
死の灰※スクリーンショット2009年8月7日NHK
これはプルトニウムの放つα(アルファ)線なんですけれども。このように同じ1点から2本の放射線が発射されてるということは、1個のプルトニウム原子があるのではなく、ここに紛れもなく放射性微粒子があるということです。

だから、こういう放射能のほこりが体の中に入った場合。埃の中にプルトニウムやウラニウムがあればα(アルファ)線を出し続ける。一番多いのはβ(ベータ)線ですね。β(ベータ)線は半減期がもっと短いものだから…もちろん放射性物質によってそれぞれの半減期で違うのですが…1秒間の間にα(アルファ)線の何百倍も何億倍も放射線が出てくる。特に微粒子の5mm~1cmの周囲はγ(ガンマ)線による被曝とは比較にならないほどβ(ベータ)線がたくさん発射されているので被害が大きくなる可能性がある。それに、もちろんγ(ガンマ)線も発射されます。そういう意味で外部被曝よりも電離の作用から見ると内部被曝のほうがはるかに危険な作用をします。

整理しますと、α(アルファ)線β(ベータ)線は飛ぶ距離が短く、短い距離でたくさん電離を行う。特に放射性微粒子が体内に入ったときには、微粒子の周囲に被曝が集中し、たいへん危険になります。これが内部被曝が外部被曝より危険な理由です。原爆被爆者はこの内部被曝を「無い」ものとして無視され続けてきました。

ICRP(国際放射線防護委員会)は電離の実態をわざと、はっきりさせていません。ICRPは放射線が体にどれだけ当たったか?当たった結果どのようになるか?っていうそのまず被害の実情と大きさを見る「物の見方」が無いのです。ICRPは、物事の実態として電離がどれくらいの密度でなされるか?ということはまったく見ずに臓器という巨大な入れ物あたりにどれだけのエネルギーが注がれたか?って見方をするんです。

ICRPは発がんのリスクは被曝する線量に依存するという考え方をとっています。また、がんはたった1個の異常細胞から出発するといわれます。これを素直に考察すると、細胞の周囲にどれだけ発がんにつながるリスクが存在するか、を見極めることが放射線を防護するうえで必要です。ICRPは、この危険度を科学的にとらえることを拒否しているのです。

こうして臓器あたりにしてしまえば…下の図をご覧下さい、本来はγ(ガンマ)線が、うんと散漫に全域にわたって被曝するケースも、α(アルファ)線が密度が高い被曝をする箇所と、その周囲のまったく被曝しない所があるのも、全部を一緒くたにして同じとして扱う。
イオン化と再結合&アルファ線とガンマ線被曝の違い
ICRPは放射線のエネルギーだけで判断する。1kgあたりのエネルギーをジュールという単位で測ったJ/kgという…1gy(グレイ)とか1Sv(シーベルト)とか言われる放射能の単位なんですがね。こういうエネルギーだけで判断する見方をしている。だから出てくる被害もICRPの都合で取り扱ってしまうわけです。

「福島程度の放射能環境で鼻血が出るはずがない」とか「チェルノブイリ事故後、健康被害として出たのは甲状腺がんだけ」などと勝手なことを断定しています。だからチェルノブイリ被害の全貌を予測できることに完全に失敗しているのです。

具体性を捨て去ったICRPのものの見方を、科学的な上の図の見方に変えないと内部被曝の怖さがわかりません。こういう飛ぶ距離を飛程(ひてい)と言いますけれども、ICRPはそもそも飛程そのものをまるっきり取り入れてない。

ICRPは電離の実態を全部単純化、平均化し、被曝を具体的に見ることをしない物の見方になっているんです。この物の見方をやめさせない限り、内部被曝の酷さというのがまったく表面化しない。内部被曝は過小評価されっぱなしなんです。

編集後記
今回の福島県の高校生の方が矢ヶ崎克馬教授に質問した「内部被曝と内部被曝の違いは何ですか?」は、2014年1月から福島県民と元福島県民に対して発送が始まった『(福島)県民健康管理ファイル』にある質問の問3「外部被ばくと内部被ばくで違うの?」への再質問だと思われます。
福島県民健康管理ファイルの外部被曝と内部被曝の説明
福島県はこの「外部被ばくと内部ひばくで違うの?」に対する回答をご覧のように福島県のイメージキャラクターであるキビタンにこう語らせています。

放射線被ばくの合計の量が同じなら、外部被ばくも内部被ばくも影響は同じ

たぶんこの福島県の回答に納得がいかなかったからこそ、今回の質問が外部被曝と内部被曝が“同じ”ではなく“違い”があることを前提にして、その違いを教えてほしいということで「外部被曝と内部被曝の違いは何ですか?」という質問になったと思われます。

矢ヶ崎克馬教授は日本の内部被曝研究の第一人者ですから、この質問は矢ヶ崎克馬教授にとってストライクゾーンど真ん中の質問だったかもしれませんね。

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※1 2009年8月7日放送のNHKのスクリーンショット

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