今回の記事は、2011年3月11日東日本大震災時の一福島県民として、そして今も加害者である東京電力からの和解要請を拒否している福島第一原発事故の一被害者として、一被曝者として書かせていただきます。

東京電力は、福島原発事故が起こるまで福島県内のテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ありとあらゆるメディアを金の力で支配し、原子力は安全、地震が来ても安全、津波が来ても安全、そうプロパガンダ…というか洗脳教育を24時間年中無休で福島県民に施してきました。

今回の記事で取り上げるのは、その一端。東電のホームページの中で、福島原発事故後に跡形もなく完全に削除された『地震対策』のページ※1です。

このページがなぜ……完全に削除されなければならなかったのか?その答えは下記の3つの一部抜粋を読んでいただくだけで、すぐ、わかります。あなたが納得するまで30秒もかかりません。
考えられるどのような地震が起きたときでも、設備が壊れて放射性物質が周辺環境に放出される事態に至ることのないよう厳重な耐震設計が行われています。

これ以上の規模では起こり得ないような大きな地震や直下型地震を想定し、これに耐えられる設備とするためS・B・Cの3つのクラスに分けて設計しています

過去最大の津波を上回る、地震学的に想定される最大級の津波を数値シミュレーションにより評価し、重要施設の安全性を確認しています。

つまり想定外と言い逃れするには、このページが非常に邪魔だったんですね。

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この闇に葬られたページを、可能な限り復元してみました。

福島原発事故が起こるまで東電が、どれだけ大見得を切っていたのか?

その全貌をとくとご覧下さい。


まずはページ全体の構成を確認してみましょう。完全削除された地震対策のページは、最初に前文(まえがき)、そして章からなっています。

■地震対策
前文
建設予定地周辺を徹底的に調査しています。
揺れの少ない強固な地盤上に建てています。
大きく揺れたときには、原子炉は安全に自動停止します。
考えられる最大の地震も考慮して設計しています。
津波への対策
地震発生のメカニズム
地震を表す尺度と被害の大きさ
新潟県中越沖地震について
新潟県中越沖地震に対する今後の対応について

↑上の章の数字を見ていただくとと3種類の色があります。これは私の方で、わかりやすくするため色分けしたものです。この色の違いは、今は亡きこのページが作成された後に、内容が変更されたかどうか?を表しています。

は、作成時そのままで変更されていない章。

は、2006年9月19日の原発の耐震設計審査指針(新耐震指針)の改訂や、2007年7月16日に起きた新潟県中越沖地震の後に文章が書き換えられ、内容が変更された章。
※書き換えられた部分は黄色のマーカーが塗ってあります。

は、2007年7月16日の新潟県中越沖地震の後に新たに増えた章です。

それから本文中で見落としてほしくない部分は、私のほうで赤字にして強調してあります。まずは前文から見ていきましょう。


■地震対策
前文
日本は、世界でも有数の地震国といわれています。それだけに原子力発電所の地震に対する安全性については、十分に高いものであることが要求されます。
現在、わが国の原子力発電所は考えられるどのような地震が起きたときでも、設備が壊れて放射性物質が周辺環境に放出される事態に至ることのないよう、土木、建築、機械、地質、地震学など、幅広い分野の技術をもとに、厳重な耐震設計が行われています


建設予定地周辺を徹底的に調査しています。
原子力発電所の建設の際には、事前に徹底した地質調査を行い、発電所の敷地を含む周辺の地質・地質構造、活断層および、過去に発生した地震等を確認・評価しています
活断層地図※活断層とは一般に、最近の地質時代(約180万年前以降)に活動し、将来も活動する可能性のある断層をいいます。

2006年耐震設計審査指針(新耐震指針)の改訂
2007年新潟県中越沖地震後に変更された部分の比較
活断層の上には建てていません。
原子力発電所の建設用地を決める際には、設置予定地のボーリング調査・周辺の地質調査・過去の文献調査などと行い、直下に地震の原因となる活断層がないことを確認しています。

建設予定地周辺を徹底的に調査しています。
原子力発電所の建設の際には、事前に徹底した地質調査を行い、発電所の敷地を含む周辺の地質・地質構造、活断層および、過去に発生した地震等を確認・評価しています。

【変更の理由を推測】
まず変更前はタイトルが「活断層の上には建てていません」で、本文でも「活断層がないことを確認しています」つまり活断層との関係を全面否定するために、この章が当初、書かれたことが推測できます。

しかし変更後は、活断層との関係を全面否定するタイトルも本文も消滅してしまっています。本文中の“確認”という言葉に注目してピックアップすると
活断層がないことを確認しています
活断層…(略)…を確認・評価しています

変更前は、活断層がないことが確認されていたのに対して、変更後は、活断層を調査しているという事実を言っているにすぎず、肝心の活断層があるのか?ないのか?が、わからなくなってしまっています。

だいたい同じ意味じゃないか?と思われる方もいるかもしれません。しかしわざわざ書き換えて表現を後退させている点がポイントです。

そもそも活断層とは、数十万年前以降に繰り返し動し、将来も動すると考えられる断層のことです。この活断層はズレ方によって下記の4つのタイプに分類できます。※2
活断層の4分類
上の4つの活断層のどれでもかまいません。原子炉を、沸騰した…やかんに置き換えて考えてみましょう。沸騰した…やかんを活断層の上に置いてみます。活断層がズレたとします。やかんは、原子炉は、どうなりますか?

この章の活断層との関係を全面否定する表現を後退させる…直接の原因となったのは2006年に改訂された原子力施設の耐震設計審査指針(新耐震指針)※3と考えられます。

というのは2006年の耐震設計審査指針の改訂よって活断層の調査の対象となる評価期間が従来の現在~5万年前以降から、さらに昔の現在~13万年前以降に倍増してしまった為です。調査の対象となる評価期間が増えれば増えるほど活断層となる断層は増えてしまいます。

もちろん東電が原子力発電所を立てた場所に断層がなければ、調査対象となる期間が倍増しようが関係ありません。しかし断層だらけの場所に建ててしまった原発もあります。例えば新潟県の柏崎刈羽原発※4がそうです。

柏崎刈谷原発の断層

↑上の画像が東電が作成した柏崎刈羽原発の断層一覧になります。紫色の四角が原子炉建屋で全部で7機あります。赤い線が断層。数えていくと原子炉建屋の直下に合計23本の断層が走っていることが確認できます。

この画像の中でも一番左下にあるK-1という文字は、この文字の上にある紫色の四角が柏崎刈羽原子力発電所1号機だということを示していますが、その左側にα断層β断層という文字があり赤い断層が2本、1号機と2号機を横切っているのが確認できます。このα断層β断層は、他の断層に比べて年代が浅く24万年前に降り積もった火山灰より上の新しい地層(安田層)をずらしています。

ということは、もし活断層の調査の対象となる評価期間が24万年前まで拡大したらα断層とβ断層は活断層になってしまいます

つまり東京電力は2006年に改訂された原子力施設の耐震設計審査指針(新耐震指針)によって『活断層』の調査対象となる評価期間が倍増した事態を受けて、将来、『活断層』の調査対象となる評価期間が増えた場合、いくつかの断層が『活断層』とされる可能性も考え、この章を書き換えたと思われます。


揺れの少ない強固な地盤上に建てています。
地震が起こると地震波が岩盤を伝わり、堆積したやわらかい地盤で揺れが増幅され、地表では大きな揺れとなってしばしば大きな被害をもたらします。原子力発電所の重要な機器・建物等は、表層のやわらかい地盤を取り除き、地震による揺れが小さく、堅固な岩盤の上に直接固定して建設しています。岩盤上の揺れは、新しい年代のやわらかい地盤の揺れに比べ1/2から1/3程度になることがわかっています。
さらに、これらの施設は、一般の建物と比べてはるかに太い鉄筋や厚い壁、広く厚い基礎を使用し、揺れや変形の少ない丈夫なサイコロ型の建物としています。
岩盤と配筋
鉄筋の太さの比較


大きく揺れたときには、原子炉は安全に自動停止します。
大地震が発生して、原子炉建屋に設置された地震感知器が震度5強程度の大きな揺れを感知したときには、安全確保のため、直ちに制御棒が自動的に挿入され、原子炉は安全に自動停止します。
福島第一原子力発電所の場合、原子炉建屋基礎に設置された地震感知器が水平方向135ガル、垂直方向100ガルの揺れを感知すると、原子炉を自動的に停止するしくみになっています。同様に福島第二原子力発電所の場合、水平方向135ガル、垂直方向100ガル、柏崎刈羽原子力発電所の場合、水平方向120ガル、垂直方向100ガルの揺れを感知すると、原子炉が自動的に停止します
地震感知器

2006年耐震設計審査指針(新耐震指針)の改訂
2007年新潟県中越沖地震後に変更された部分の比較
原子炉や主要な配管、非常用ディーゼル発電機などの重要な機器類は、実際の設備か詳細に模した設備を、大型振動試験装置を使って、耐震設計で想定した地震よりも大きい力で揺らす試験を行い、安全性を確認しています。

福島第一原子力発電所の場合、原子炉建屋基礎に設置された地震感知器が水平方向135ガル、垂直方向100ガルの揺れを感知すると、原子炉を自動的に停止するしくみになっています。同様に福島第二原子力発電所の場合、水平方向135ガル、垂直方向100ガル、柏崎刈羽原子力発電所の場合、水平方向120ガル、垂直方向100ガルの揺れを感知すると、原子炉が自動的に停止します。

【変更の理由を推測】
※この部分に解説を書いてくださる専門家の方を募集しています。詳細はTwitterにてお問い合わせいただければと思います→https://twitter.com/hukusimaken


考えられる最大の地震も考慮して設計しています。
原子力発電所の建物や機器・配管などは、歴史上の地震や活断層の詳細な調査結果に基づき、周辺地域でこれ以上の規模では起こり得ないような大きな地震や直下型地震を想定し、これに耐えられる設備とするため、耐震上の重要度に応じてS・B・Cの3つのクラスに分けて設計しています
また、原子力発電所の耐震設計で発電所の敷地に想定する地震動(地震の揺れ)は、強度に応じて基準地震動Ssとして定義されています。基準地震動Ssは、プレート境界で発生する地震や内陸の活断層により発生する地震など、あらかじめ敷地周辺で具体的に想定される震源による地震動(敷地ごとに震源を特定して策定する地震動)を評価した上で、敷地近傍において特定の震源によらず念のために想定するものとして、震源と活断層を関連付けることが困難な過去の地震について得られた観測記録等をもとに想定する地震動(震源を特定せずに策定する地震動)を併せて評価し、策定しています。
Sクラスの設備は、基準地震動Ssによる地震力、さらに建築基準法で定められた3倍の規模の地震力に対しても、十分に安全であるように設計することで、原子力発電の「止める」「冷やす」「閉じ込める」という安全機能を維持しています。
耐震クラス

2006年耐震設計審査指針(新耐震指針)の改訂
2007年新潟県中越沖地震後に変更された部分の比較
また、原子力発電所の耐震設計で発電所の敷地に想定する地震動(地震の揺れ)は、強度に応じて基準地震動S1とS2があります。基準地震動S1は、敷地周辺において過去に発生した地震や活動度の高い活断層による地震を想定した上で策定します。これを上回る基準地震動S2は、活動度の低い活断層による地震やその地域で発生する限界レベルの規模の地震を想定し、さらに、マグニチュード6.5の直下型地震をも考慮して策定しています。

また、原子力発電所の耐震設計で発電所の敷地に想定する地震動(地震の揺れ)は、強度に応じて基準地震動Ssとして定義されています。基準地震動Ssは、プレート境界で発生する地震や内陸の活断層により発生する地震など、あらかじめ敷地周辺で具体的に想定される震源による地震動(敷地ごとに震源を特定して策定する地震動)を評価した上で、敷地近傍において特定の震源によらず念のために想定するものとして、震源と活断層を関連付けることが困難な過去の地震について得られた観測記録等をもとに想定する地震動(震源を特定せずに策定する地震動)を併せて評価し、策定しています。

【変更の理由を推測】
※この部分に解説を書いてくださる専門家の方を募集しています。詳細はTwitterにてお問い合わせいただければと思います→https://twitter.com/hukusimaken


津波への対策
原子力発電所では、敷地周辺で過去に発生した津波の記録を十分調査するとともに、過去最大の津波を上回る、地震学的に想定される最大級の津波を数値シミュレーションにより評価し、重要施設の安全性を確認しています。また、発電所敷地の高さに余裕を持たせるなどの様々な安全対策を講じています。
敷地の地盤高さ


地震発生のメカニズム
地球の半径はおよそ6400キロメートルで、表面は十数枚のプレートと呼ばれる岩盤でおおわれています。プレートには大陸プレートと海洋プレートがあり、海洋プレートは大陸プレートより固くて重い岩盤のため、大陸プレートの下に潜り込んでいます。このプレートはそれぞれ1年に数cmずつ移動しています。
地震は発生原因によって「プレート境界型」、「プレート内型」、「沈み込むプレート内型」、「火山性型」などに分類されます。プレートの運動によって蓄積された、ひずみのエネルギーがある限界を超えたとき、エネルギーを解放して地震が発生します。
プレート


地震を表す尺度と被害の大きさ
地震を表す尺度には、地震の規模を表す「マグニチュード」と、揺れの大きさを表す「ガル」、そして「震度」があります。

◇マグニチュード(M)
マグニチュードとは、地震により放出された地震のエネルギーの大きさを表す単位(M)です。この値は地震毎に定まるものであり、観測場所によって値が変わることはありません。

◇ガル(1gal=1cm/sec2)
ガルとは、地震による地盤や建物等の揺れの大きさを表す加速度の単位(cm/sec2)で、建物等にどの程度の力が加わるかを示しています。

◇震度
震度とは、観測点における地震の揺れの強さを簡単に表す尺度で、人間が揺れを感じる程度、家屋の揺れ方や被害の程度等を考慮して決定され、0(無感)から7(激震)までの10階級に分けられます。気象庁は全国の600地点で震度を観測しています。
マグニチュード


新潟県中越沖地震について
2007年7月16日、柏崎刈羽原子力発電所の沖合約16kmの地点で、マグニチュード6.8の地震(新潟県中越沖地震)が発生しました。この地震は柏崎市・刈羽村を始めとする近隣地域に大きな被害を及ぼし、発電所においても非常に大きな揺れを記録しました。その揺れは1号機の原子炉建屋の基礎マット上で最大680Galという大きなものでした。
震源と震度分布

・発震日時: 2007年7月16日10時13分頃
・震源位置: 上中越沖 北緯37度33.4分 東経138度36.5分
・深 さ : 17km
・気象庁マグニチュード:M=6.8
・柏崎刈羽原子力発電所まで 震央距離:16km 震源距離:23km
・震 度 : 【震度6強】柏崎市、刈羽村、長岡市
【震度6弱】上越市、小千谷市、出雲崎町

■ 各号機で観測された加速度の一覧
新設地震計

観測された最高速度※単位:ガル、()内は設計時の加速度応答
号機 最下階 南北方向 東西方向 上下方向
1号機 B5F 311(274) 680(273) 408(235)
2号機 B5F 304(167) 606(167) 282(235)
3号機 B5F 308(192) 384(193) 311(235)
4号機 B5F 310(193) 492(194) 337(235)
5号機 B4F 277(249) 442(254) 205(235)
6号機 B3F 271(263) 322(263) 488(235)
7号機 B3F 267(263) 356(263) 355(235)

・地震発生時に運転中であった3・4・7号機、そして起動中であった2号機の4基では、いずれも地震の大きな揺れを検知して自動停止装置が作動し、安全に停止しました。また、全7基とも今回の地震を通して「止める」「冷やす」「閉じ込める」という最も重要な安全機能は維持されました。
・地震後に実施された目視点検の結果、安全上重要な設備に損傷は見つかりませんでした。この他の新潟県中越沖地震時における発電所の状況、および現在の発電所の点検スケジュール等については以下のページをご参照ください。


新潟県中越沖地震に対する今後の対応について
・引き続き建物や設備の点検を実施します。
・新潟県中越沖地震で発電所の敷地に大きな揺れが発生した原因を明らかにします。
・発電所で観測された地震による揺れの記録の解析、海域も含めた地盤の調査を元に、揺れの大きさに影響を与えたと考えられる要因を詳細に検討し、今後、敷地周辺において発生する可能性がある地震による揺れの大きさを評価します。
・新潟県中越沖地震も含めて柏崎刈羽原子力発電所の付近で過去に発生した地震、および今後発生する可能性がある地震に対して、建物や設備の耐震性が十分であるかどうかを確認します。また必要に応じて補強を行い、耐震面での安全性を十分に確保します。
・地震が発生した時に迅速な対応を行うため、有事の際に対応・対策の陣頭指揮を執る執務室(緊急時対策室)を免震構造にします。

※1 http://www.tepco.co.jp/nu/knowledge/quake/quake-j.html リンク切れ
※2 http://www.gsi.go.jp/bousaichiri/explanation.html
※3 http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/taishinkojo/pdf/all_pamph.pdf
※4 http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu13_j/images/130418j0201.pdf

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