ラジオが語りだしたのは、福島県内の各市町村の被害状況でした。

福島県は大きく3つの地域にわけることができます。福島第一原発がある太平洋に面した地域は、浜通り地方。その反対に奥羽山脈が横切っている山沿いの地域を、会津地方。その二つの地域に挟まれた真ん中の地域を中通り地方です。

会津地方は、ほとんど人的被害がなく、中通り地方の死傷者も数百人程度、しかし浜通り地方は津波が直撃したため行方不明者の把握さえできないわからないほとの被害が出ていることがわかりました。

そして最後に、ぽつりとラジオのアナウンサーは言いました。

福島第一原発が冷却できなくなっているが、大丈夫、心配ないと。

冷静に考えれば原発が冷却できなくなっているのに、大丈夫も心配ないもあったものではないのですが、その時は東日本大震災で精神的にもボロボロだったためか、今考えると希望的観測でしかないその言葉に私も縋り付いていました。

そもそも医療事故以外で放射能で健康被害が出る人の話などチェルノブイリ原発事故以外では、例え福島県に住んでいてもほとんど聞いたことがなかったのです。