栃木県のラジオは最初、各県の地震や津波における被害状況を簡潔に話していました。

その後、アナウンサーが訝るような口調で「福島第一原発がたいへんなことになっています。このままでは核燃料が溶け出すおそれが…」といかに今の福島第一原発が危機的状況にあるかを説明しました。まるで核兵器が投下される前ような緊迫した雰囲気がラジオから流れてきました。

その時、生まれてはじめて「セシウム」「メルトダウン」「水素爆発」などの言葉を耳にしましたが、意味が分からず、福島原発の今がいったいどうなっているのか?それはよくわからないけど、とにかく専門用語が頻繁に飛び交わなければならない状況。

結局、福島県のラジオが言ってくれた「大丈夫、心配ない」という甘い言葉をそのニュースで聞くことはありませんでした。

私は運転しながら考えました。

「なぜ、同じ事実なのにこうも報道内容が違うのだろう」

いったいどちらのラジオが福島の現在をより正確に語っているのだろう。

核燃料が溶け出す…と言われても、溶ける…つまり液体なんだろうから、別に栃木県の人が騒ぐ話ではないじゃん!と、この時は、核燃料が解ければあたりのほこりなどと結合して放射性微粒子となって地球全域へと飛び立っていくとは考えてもみなせんでした。