2016年6月2日に宮城県丸森町が、町議会全員協議会に示した資料によると福島第一原子力発電所の事故当時に0歳から18歳だった丸森町民等を対象に実施している甲状腺エコー検査で、今回初めて2人の子供達が甲状腺がん及び疑いと診断されました。※1
なお2人は現在はともに成人していて、性別は女性。1人はすでに手術済みで甲状腺がん確定。1人は経過観察中です。
宮城県丸森町による甲状腺エコー検査は丸森町が独自の判断でおこなっているものです。甲状腺検査の対象者は福島原発事故当時0~18歳だった丸森町民、さらに原発事故直後の転入者、出生者も合わせた合計2323人が対象となっています。
この検査対象者2323人のうち2012年3月~2013年1月に初めておこわれた甲状腺エコー検査では1982人が受診し、甲状腺がん及び疑いと診断された子供は1人もいませんでした。
今回の二回目の甲状腺エコー検査は2015年7月~2016年4月にかけておこなわれ1564人が受診し、その中から2人が甲状腺がん及び疑いと診断されたということです。
甲状腺がん及び疑いと2人が診断されたことについて丸森町の保健福祉課は
「(福島)原発事故が原因かどうかははっきりしない。福島県で行っている調査でも最終結論には至っておらず、その動向を見たい」
と説明しています。丸森町が独自の判断でおこなっている甲状腺エコー検査だからか…わからないことは、わからないと真摯に答えて下さる丸森町の姿勢は非常に立派だと思います。
そこで2016年6月3日現在、公表されている福島県や茨城県北茨城市の小児甲状腺がんの資料と比較して、丸森町の甲状腺がんが福島原発事故が原因の可能性はないか?探ってみようと思います。
なぜなら福島原発事故が原因だとわかれば東京電力と国に損害賠償請求ができるからです。
なお福島県の甲状腺がんと考えられる子供達172人(2016年3月31日時点)を市町村別に分類した資料は福島の甲状腺がんと子供達→原発事故の現在は?をご覧下さい。
茨城県北茨城市の甲状腺がんと診断された子供達3人(2015年8月25日公表)と福島県の患者数やヨウ素131の推定分布を比較した資料は茨城県北茨城市の子供達3人→甲状腺がん!北関東と福島県との比較をご覧下さい※ヨウ素129から推定されたヨウ素131の土壌濃度分布については宮城県丸森町のデータもあります。
■小児甲状腺癌患者数で比較
その市町村の子供達の何人に1人が甲状腺ガンを発病したか?を色分けしたのが下記の地図となります。地図の右上にある宮城県丸森町、地図の右下にある茨城県北茨城市以外はすべて福島県の市町村です。
地図の右側の真ん中にある×が福島第一原発です。
■…1人~999人に1人が発病
■…1000人~1999人に1人が発病
■…2000人~2999人に1人が発病
■…3000人~3999人に1人が発病
■…4000人~6999人に1人が発病
この地図を一覧表にしてみましょう。甲状腺癌及びその疑いの子供は何人に1人いるのか?発病した割合が高い市町村順に並べてあります。
市町村名 | 患者数 | 患者は何人に1人いる? |
川内村 | 1人 | 280人に1人 |
湯川村 | 1人 | 515人に1人 |
大熊町 | 3人 | 657人に1人 |
大玉村 | 2人 | 686人に1人 |
下郷町 | 1人 | 710人に1人 |
浪江町 | 4人 | 812人に1人 |
中島村 | 1人 | 832人に1人 |
本宮市 | 6人 | 872人に1人 |
平田村 | 1人 | 873人に1人 |
丸森町 | 2人 | 991人に1人 |
川俣町 | 2人 | 1110人に1人 |
泉崎村 | 1人 | 1157人に1人 |
伊達市 | 9人 | 1178人に1人 |
塙町 | 1人 | 1255人に1人 |
田村市 | 5人 | 1265人に1人 |
郡山市 | 42人 | 1287人に1人 |
二本松市 | 6人 | 1476人に1人 |
白河市 | 7人 | 1544人に1人 |
北茨城市 | 3人 | 1592人に1人 |
いわき市 | 28人 | 1765人に1人 |
南相馬市 | 6人 | 1798人に1人 |
桑折町 | 1人 | 1874人に1人 |
会津若松市 | 8人 | 1904人に1人 |
猪苗代町 | 1人 | 1945人に1人 |
鏡石町 | 1人 | 2030人に1人 |
会津坂下町 | 1人 | 2139人に1人 |
石川町 | 1人 | 2163人に1人 |
富岡町 | 1人 | 2302人に1人 |
棚倉町 | 1人 | 2321人に1人 |
福島市 | 20人 | 2365人に1人 |
須賀川市 | 5人 | 2416人に1人 |
矢吹町 | 1人 | 2567人に1人 |
会津美里町 | 1人 | 2609人に1人 |
三春町 | 1人 | 2730人に1人 |
西郷村 | 1人 | 3618人に1人 |
相馬市 | 1人 | 5209人に1人 |
合計 | 177人 | 1735人に1人 |
なお宮城県丸森町の子供達の何人に1人が甲状腺がんだったか?計算する際の分母は初めておこわれた甲状腺エコー検査の受診者1982人を使って計算してあります。
検査受診者1982人÷甲状腺がん患者2人=991人
なぜ二回目の甲状腺エコー検査の受診者1564人を使って計算しないか?
と言えば福島県や茨城県北茨城市は計算の際に最初の甲状腺エコー検査の受診者を分母にして計算しているためです。土台である分母を同条件にして比較しないと意味がありませんので。
※1http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201606/20160603_13031.html
▼この関連記事が一緒に読まれています(^O^)
≪福島原発事故と小児甲状腺がんシリーズ≫
★福島の甲状腺がんと子供達→原発事故の現在は?
★宮城県丸森町→子供の甲状腺がんを福島県と比較
★茨城県北茨城市の子供3人→甲状腺がんと診断!
★福島の子供より東電社員が大事→甲状腺がん労災