本日2016年4月1日ついに電力の自由化が始まりました。今まで日本の電気は10地域ごとに各1社だけが電気を独占して販売でき、私達はその電気を買うしか選択肢はありませんでした※1
日本の電気の供給区域地図
しかし今日からは電気を買う会社を自分で選べるようになりました。そこで今回の記事は、電気料金比較サイトなどで…どこの電力会社から電気を買うか?比較検討する時に知っておかないと後悔する7つのポイントを特集させていただきます。

1.原発とは無関係な電力会社を選ぶ

ポイントの1つ目は、原発とは無関係な電力会社を選ぶことです。実は、先ほど日本地図でご紹介した日本の電気の販売を各地域で独占してきた電力会社10社、具体的には北から北海道電力東北電力東京電力中部電力北陸電力関西電力中国電力四国電力九州電力沖縄電力この10電力会社はそのまま、日本における原発推進勢力の総本山である電気事業連合会(略称、電事連)のメンバーです。

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電力会社別の原子炉数を見てみましょう。この原子炉数には建設中や計画中の原発も含みます。ただし福島第一原発をはじめ廃炉や解体中の原発はカウントしませんでした。

地域独占だった電力会社10社と原子炉数
電力会社 原子炉数
北海道電力 3基
東北電力 5基
東京電力 13基
中部電力 4基
北陸電力 2基
関西電力 9基
中国電力 2基
四国電力 3基
九州電力 6基
沖縄電力 0基
合計 47基

さらに日本全国にある原子力発電所の場所をもう一度地図で振り返ってみましょう。地図上の赤い丸は原発から30km圏内を表します。これが私達の住む国、日本の現実なのです。
日本の原子力発電所の所在地の地図2016年
昨日までの私達は、どんなに原発がイヤでも原発を保有する電力会社から電気を買うしか方法がありませんでした。電気料金には当然、電力会社の利益が上乗せされています。その利益が原発を日本中に出現させる原動力となっていたのです。

でも今日からは、選べるんです。原発を推進する電力会社に「さよなら」して原発と無関係の電気を買うことができます。実は電力会社の変更の予約はすでに2016年の1月から始まっていて…すでに2016年3月25日時点で37万8400件の皆さんが電力会社の変更の予約をおこないました。※2

電力の契約を変更する申し込みをした件数
電力会社 変更の申込数
北海道電力 17200件
東北電力 6100件
東京電力 221800件
中部電力 16100件
北陸電力 900件
関西電力 103500件
中国電力 100件
四国電力 1700件
九州電力 11000件
沖縄電力 0件
合計 37万8400件

ただ、この37万8400件電力会社の変更の中には、原発推進の電気事業連合会に所属する電力会社間での変更も含まれています。例えば、東京に住んでいるAさんが電気料金比較サイトで検討した結果、今まで電気を買ってきた東京電力中国電力に契約を変更しました。これ…脱原発の視点から見れば完全に無意味なわけです。

※なお新電力のソフトバンクでんきは、太陽光などの再生可能エネルギーで発電された比率の高い電力のプランを用意していてパッと見よさそうに見えますが、その実態は東京電力(TEPCO)との全面的な業務提携がおこなわれています。

電気料金比較サイトの多くが電気料金の価格競争での比較を前面に押し出しています。1円でも電気料金が安いのは…どの電力会社?でも、それでは一番大切なことが見えなくなってしまいます。
子供達に遺したいのは原発?原発のない日本?

日本の電源構成…つまり電気をどんなエネルギー源から作っているか?の割合%の変化(2011~2014年)を見てみましょう。一覧表の一番下にあるのが原子力発電。下から2番目にある再生エネとは再生可能エネルギーのことで具体的には太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、地熱発電などです。※3

日本の電力の電源構成の推移
電源 2011年 2012年 2013年
天然ガス 39.5% 42.5% 43.2%
石炭 25.0% 27.6% 30.3%
石油 14.4% 18.3% 14.9%
水力 9.0% 8.4% 8.5%
再生エネ 1.4% 1.6% 2.2%
原子力 10.7% 1.7% 1.0%

原子力発電の割合は、急激に減少しています。発表されている中で一番新しい2014年で原子力発電はどうなっているか?
2014年日本の発電電力の構成

原子力発電は0%でした。

このまま原発という…古い、汚い、怖いエネルギー源は終わりにしませんか?

まずは原発とは無関係な電力会社を選ぶこと。

2.国に登録されている電力会社から選ぶ

ポイントの2つ目は、国…具体的には資源エネルギー庁に登録されている電力会社から選ぶことです。※4

そもそも電気を皆さんに売るためには、小売電気事業者となるための審査を通過して資源エネルギー庁に登録する必要があります。登録さえしていないのに小売電気事業者を名乗り契約を変更しようと迫るとしたら…詐欺の臭いがプンプンしますね。

もちろん代理店だったり提携して募集しているのであれば問題ないわけですけれども。

なお登録された小売電気事業者はこちらの登録小売電気事業者一覧(あいうえお順)から簡単に確認できます。

3.新たに機器を購入する必要はない!

ポイントの3つ目は、今回の電力自由化で新たに機器を購入する必要は一切ありません

新たな制度ができると、どうしても便乗詐欺が流行ります。消費者庁もポスターを作成して注意を呼び掛けています。※5
電力自由化とクーリングオフの電話番号は188
訪問販売や電話勧誘販売の場合、法定書面を受け取ってから8日以内であればクーリングオフができます。クーリングオフの方法は消費者ホットラインで教えてくれます。電話番号は188(いやや)です。

しかし悪徳業者の場合、渡された名刺にある電話番号にかけてみても「この電話番号は現在使われておりません」だったり。住所も存在しない架空の所在地を記載してあったりしてクーリングオフ自体が不可能なこともしばしばあります。この方法は少額の現金をその場で支払うタイプの詐欺でよく見られる手法です。繰り返しになりますが…

今回の電力自由化で新たに機器を購入する必要は一切ありません。

それから注意が必要なのは電気を計測しているメーターの交換についてです。電力会社を変更すれば優先的に、従来のメーターからスマートメーターへの交換がおこなわれます。※6
電力会社変更の際のスマートメーターへの交換は無料
この電力メーターの交換工事は、従来の電力会社(例えば東京電力)が工事業者に依頼しておこなわれますので…あなたは1円も払う必要がありません。取り換え費用は無料です

4.自由化されたのは小売電気事業

ポイントの4つ目は、自由化されたのは、あくまで電気を売る…小売電気事業の話だということです。ですから電気を送る…送配電事業は自由化されておらず、引き続き今までと同じ地域独占の電力会社が担当します。この2つの違いがわからないと混乱するので図とQ&Aを使って整理しましょう。

質問
電力会社を変更するには新たに電線を引かないといけないの?
回答
新たに電線を引く必要はありません。下の図にもあるように今回自由化されたのは、あくまで電気を『売る』小売電気事業者であって、電気を皆さんの自宅に『送る』送配電事業者は今までと同じ地域独占の電力会社(例、東京電力)が担当します。送配電事業者は自由化されていません。

電力自由化と送配電事業者との関係図

質問
電力会社を変更すると停電の心配や停電が従来より起こりやすくなる?
回答
停電が従来より起こりやすくなることはありません。上の図にあるように電気を皆さんの自宅に『送る』送配電事業者は今までと同じ地域独占の電力会社(例、東京電力)が担当します。電柱や電線など電気を『送る』インフラも今までと全く同じです。
質問
電力会社を変更すると電気の質が今までより悪くなることはないの?
回答
まったく心配ありません。上の図にあるように電気を皆さんの自宅に『送る』送配電事業者は今までと同じ地域独占の電力会社(例、東京電力)が担当します。電圧や周波数など電気の質は今までと全く同じです。
質問
変更した電力会社が倒産や撤退してしまった場合、電気の供給が止まって停電してしまうの?
回答
電気の供給が止まって停電することはありません。あなたが新たな電力会社と契約するまでの間は、地域独占だった電力会社(例、東京電力)があなたに電気を供給する義務が生じます。万が一、倒産することがあっても電気は途切れることなく供給され続けます。電気料金も地域独占だった電力会社の標準的な料金メニュー(経過措置の料金メニュー)で電気の供給を受けることができます。※7

5.賃貸アパートや分譲マンションも対象

ポイントの5つ目は、今まで自分自身や家族名義で地域独占だった電力会社(例、東京電力)と契約していたのであれば住宅が自己所有賃貸一戸建てアパート分譲マンション問わず電力会社を変更できます

変更できない例外としては分譲マンションで一括受電の場合は自分で電力会社を変更できません。

一括受電とは、マンション全体で電力会社と直接高圧電力契約を行いマンションの各世帯は高圧電力契約者と低圧契約することで電気の供給を受ける電気契約の方法です。高圧電力料金単価と低圧電灯料金単価の差額がある分、電気料金を安くすることができました。

一括受電の有無は、電気料金の領収書の名義が地域独占だった電力会社か?それ以外の会社か?を見ればわかります。

電気料金の領収書の名義が地域独占だった電力会社の場合であれば電力会社を変更できます。それ以外の会社名や管理組合名義だった場合は電力会社を変更できません。

6.契約解除料に注意する

ポイントの6つ目は、電気料金比較サイトで電力会社を比較する際には契約解除料の有無を必ず確認することです。

契約解除料とは携帯電話やインターネットプロバイダーとの契約(例、2年間)でよく見かける途中解約する際に支払わなければならない違約金のことです。契約解除料の呼び名は各電力会社によってまちまちですが契約期間や違約金の項目などに記載があります。

この契約解除料がある電力会社と、契約解除料がない電力会社があります。

例えば多くの電気料金比較サイトで電気料金最安値で掲載されることが多いHTBエナジー。聞いたことのない人も多いと思いますが、このHTBエナジーはH.I.S.グループのハウステンボスが出資して誕生した今、注目の新電力会社です。しかし実は契約解除料がある電力会社です。

もちろん、このHTBエナジーは既存電力会社の電気料金より5%割引を保障している日本で唯一の電力会社(2016年4月1日現在)です。

つまりHTBエナジーであれば、電力会社を変更したら電気料金が高くなってしまったという最悪の事態は避けれます。ですので私も「迷ったら、ひとまず5%OFFのHTBエナジーで」と言って推薦してるわけですが。

このHTBエナジーの唯一の欠点が契約解除料があることです。と言ってもHTBエナジーの電力供給対象エリア外への引っ越し理由の解約の場合は、一年未満の解約の場合でも違約金は不要ですし、電力供給開始の日から1年間がすぎれば契約解除料は一律で不要となります。ですからHTBエナジーから別の電力会社にもし変更する場合には1年間すぎてからにすればいいだけなんですが。一覧表にまとめます。※8

HTBエナジーの契約解除料
解約理由 1年目 2年目 3年目
引っ越し 不要 不要 不要
その他 9720円 不要 不要

ご覧のようにHTBエナジー契約解除料がある電力会社の中では良心的です。1年たてば自由に解約できるわけですし。

ですが他の電力会社の中には2年契約、しかも期間満了で解約しない限り契約解除料も自動更新で延々ついてまわるパターンもありますですから電気料金比較サイトで電力会社を比較する際には契約期間と契約解除料の有無を必ず確認しましょう。

「一度、電力会社を変更したらずっとそのまま契約するつもりだから契約期間も契約解除料も気にしない。だって毎年、電気料金比較サイトで比較するの…面倒くさいし」

もちろん、それも1つの方法ですが電気料金は燃料費の影響を直接受けますから今後も電気料金が上がったり下がったりします。

電気料金比較サイトで見つけた、今の時点でのベストな電気料金、ベストな電力会社。これが1年後もベストである保証はありません。それで解約に関する重要事項である契約期間と契約解除料の有無を確認しておいてほしいのです

7.電気の検針票を準備する

ポイントの7つ目は、電気料金比較サイトを利用する際に電気の検針票(電気ご使用量のお知らせ)を手元に準備しましょう。

電気の検針票(電気ご使用量のお知らせ)には、あなたの契約している電気についての重要事項がギュッと詰まっていますので電気料金の比較がスムーズにできるようになります。

※1http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/electricity_liberalization/what/
※2https://www.occto.or.jp/oshirase/hoka/2016-0401_swsys_riyou.html
※3http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/pdf/kaiken_s1_20150522.pdf
※4http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/retailers_list/
※5http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/price_measures/pdf/160315_2.pdf
※6http://www.nhk.or.jp/kaisetsu/stadium/
※7http://www.emsc.meti.go.jp/info/faq/answer.html
※8http://htb-energy.co.jp/qa/

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