チェルノブイリと福島→甲状腺がんグラフの比較

まずチェルノブイリの甲状腺がんのグラフはこちらです。
チェルノブイリ-甲状腺がんのグラフ
このグラフはチェルノブイリのなかでも…高濃度の放射能汚染地帯であるベラルーシ共和国の甲状腺がんの増加の推移を記録したグラフです。※1

■チェルノブイリと福島県の甲状腺がん

なおグラフでは詳細な数字の推移は比較ができませんので、チェルノブイリ原発事故と福島原発事故を比較する為100万人あたりに何人発病したか?を一覧表にしたのが下記となります(【緊急特集】福島県の子供の甲状腺がん患者数など→最新情報まとめより)。

日本でよく言われる100万人あたり何人が小児甲状腺がんになるか?という形で統一し、さらに原発事故後何年で甲状腺がんが増えるか?が一目で分かるように1年ごとの年表にして、今回の福島県の調査結果と共に一覧表にしてみました。

情報源は、日本は国立がん研究センターがん対策情報センター※2、ベラルーシは長崎大学…これは山下俊一福島県立医科大学副学長が作成した資料で上のグラフの元になっているもの※3です。福島県は県民健康管理調査の検討委員会資料※4です。

このように元々3つの資料はバラバラですので甲状腺癌の定義に微妙に違いがあります。

日本は実測を元にした推定罹患数(りかんすう、新たにガンと診断された数)、ベラルーシは小児甲状腺がんの手術件数、福島県は小児甲状腺がん及びガンの疑いの数です。

この一覧表における小児の年齢の定義は、日本は0~19歳まで。ベラルーシだけは2つ列がありますが0~14歳15~18歳です。福島県は、2011年3月11日時点で概ね18歳以下だった者です。

その他の違いについてはそれぞれの論文・資料・グラフをご覧下さい。

≪チェルノブイリと福島原発事故の比較≫
100万人に何人小児甲状腺がん患者がいる?
チェルノブイリ原発事故 福島原発事故
原発事故から 日本 ベラルーシ 福島県
0-14歳 15-18歳
0年 0人 0人 3人 334人
1年 0人 1人 8人 401人
2年 1人 3人 3人 329人
3年 1人 2人 2人 49人
4年 2人 12人 6人
5年 2人 23人 14人
6年 3人 29人 10人
7年 2人 34人 29人
8年 2人 35人 32人
9年 1人 40人 38人
10年 1人 38人 30人
11年 1人 31人 42人
12年 2人 26人 56人
13年 2人 25人 66人
14年 2人 17人 95人
15年 2人 7人 113人
16年 2人 0人 97人

チェルノブイリ原発事故後も、日本の小児甲状腺癌患者数は100万人中0人~3人で安定して推移しています。これに対してベラルーシの推移は0-14歳は原発事故後4年後から100万人中12人、15-18歳は原発事故後5年後から100万人中14人と推移し、そのまま爆発的な上昇を続けています。

このチェルノブイリ原発事故当時の日本とベラルーシと比較することで、今回の福島県の小児甲状腺がん患者数がいかに異常な数値か…推移か…はっきりしました。福島原発事故のあった2011年に100万人中334人、1年後には100万人中401人、2年後も100万人中329人、3年後はまだ検査結果の27%しか確定していません(2014年10月31日現在)がベラルーシと同程度の100万人中49人となっています。

■チェルノブイリの甲状腺がん年齢別リスク

山下俊一長崎大学副学長が作成したベラルーシのなかでも放射能汚染が酷いゴメリ州の小児甲状腺がん患者の資料※5を見やすいように癌の発病レベルの変化に合わせ色分けしてみました(チェルノブイリ原発事故から学ぶ子供の甲状腺がん→山下俊一まとめより)。グラフ化も考えましたが、やはり一覧表のほうがグラフより詳細に比較できますのでグラフにしませんでした。

↓縦軸は原発事故時に何歳だったか?
→横軸は原発事故から何年後にがん登録されたか?
【ベラルーシ・ゴメリ州】子供の甲状腺がん患者数の推移(山下俊一)
見やすいように私のほうで四色に色分けしてあります。原発事故が起きる前の-1年と原発事故が起こった0年は、0歳17歳の全年齢でがん登録は1年に1人だけですから平常ということですべての年齢を青。

9歳以下は甲状腺がん増加前の事故後1年3年緑色に、甲状腺がん増加後の4年以降は赤に。

10歳以上は1年後から甲状腺がんが増え始めていますので黄色に染めました。

放射能が未来あるこれらのチェルノブイリの子供達に何をもたらしたのか?考えると、原発事故さえ、放射能さえなければ…と思わざるをえません。

残念ですが日本でも原発事故という…放射能汚染という…パンドラの箱は開いてしまいました。

日本人と放射能との本格的は戦いは、まだ始まったばかりです。

※1http://www-sdc.med.nagasaki-u.ac.jp/abdi/publicity/radioactivity_qa.html
※2http://ganjoho.jp/professional/statistics/statistics.html
※3http://www-sdc.med.nagasaki-u.ac.jp/coe/jp/activities/elearning/lecture/02-02.html
※3http://depts.washington.edu/epidem/Epi591/Spr09/Chernobyl%20Forum%20Article%20Cardis%20et%20al-1.pdf※リンク切れ
※4https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/96850.pdf
※4https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/96851.pdf
※5http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/bunka5/siryo5/siryo42.htm

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