公開日:2016年6月29日 

「セシウム安全神話の捏造にカリウム40を利用するな」矢ヶ崎克馬教授

質問(質問者:千葉県/20代/大学院生)
「カリウム40が身体中に4000ベクレルあるので、セシウム137の50ベクレルなど健康影響があるはずがない」ということは本当ですか?

回答(回答者:矢ヶ崎克馬琉球大学名誉教授)
矢ヶ崎克馬琉球大学名誉教授

「カリウム40が身体中に4000ベクレルあるので、セシウム137の50ベクレルなど健康影響があるはずがない」そのような見方は間違っています。

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1.毎秒1億3000万個の電離(分子切断)を修復する能力(免疫力)
放射性カリウムは太古より人類の生命組織の中に入り込み、これを除外して生きることができないものである。人間が「健康である」状態でいつでも体内に存在し大量の電離がいつでも進行しているのである。

放射性のカリウム40は自然の状態でカリウム全量の0.0117%存在し、放射能の物理的半減期は12億7700万年。その89%は1.31MeVのベータ崩壊でカルシウムとなり、11%が電子捕獲でアルゴンとなる。通常人は食事とともに約1グラム(約30ベクレル)のカリウムを毎日体内に取り入れ、それが蓄積されて約4000ベクレルの放射となる。これはほぼ生物学的半減期が80日程度として良く理解できる。

カリウム40のベータ線のエネルギーは高く(1.31MeV)、1本のベータ線で約600個の細胞を被曝する。平均的に1細胞60個程度の電離を受ける。電離は分子の切断に帰結する。すなわち組織が原子レベルで切断されていく。体内4000ベクレルならば毎秒1億3000万個の電離がなされる。進化の結果として人間は4000ベクレルの被曝、毎秒1億3000万個の電離を受けながら「健康に」生きている。

これだけの被曝を受けながら健康に生きているということは毎秒1億3000万個の電離を修復処理する能力が人間には備わっているということである(人間だけではない)。その処理能力なしには生物は生きられない。諸細胞の機能もこれに対応しており、生命機能が順応しているのである。

2.被曝の害は具体的に検討することで比較できる
カリウムの害がどれほどであるか?人間の身体からカリウムを除外することはできない。だから除外して確かめることができないのである。生命機能がカリウム4000ベクレル程度と平衡を保っているとみるべきであろう。平衡とはデリを処理する能力が備わっているということである。

それに加えて人工の放射能が加わる。人工の放射性物質が入ると生命機構の修復作用能力を超えることになり、放射線リスクが出現する。

しかし(似非)「専門家ら」が被曝をどのように見るかという「科学の視点」は科学になっていない。被曝という事柄の具体性について何の概念も持たずに、ICRPの教えるママの非科学的なレベル「教条を覚える」に留まっている。具体的な被曝の現場:事実自体を見ないがゆえに生命を抱える人間にたいする誠実な対応となっていない。

被曝を考察する必要な事柄を述べると【1】被曝の総量【2】電離(分子切断)の密度【3】臓器への蓄積【4】不溶性微粒子を構成するかどうか等々の考察である。

3.カリウムのベクレル数セシウムのベクレル数の比較は間違い
被曝を評価するうえで、カリウム40とほかの放射性原子からの被曝の比較の仕方が現実に立脚していない。しばしば「カリウム40は4000ベクレルあるのに対しセシウム137は高々100ベクレルであるのでセシウムによる被曝は問題にならないほど低い」などとする専門家の論を聞く。被曝の現場を分析する解析力が無いのである。具体的に考察する能力が無ければこのような見方が出てくる。

【1】カリウムはいつでも存在するのだから、(カリウム)対(セシウム)という比較は架空のものであり、比較が成り立つとするならば、(カリウム)対(カリウム+セシウム)の被曝量を比較すべきである。免疫力で対抗できているカリウム被曝に加え合わせてセシウムの被曝が重なることを考察すべきである。

【2】ここでさらにカリウムとセシウムの原子としての性質の違いが生命機能にどのように関わるかを考察すべきである。

【3】それぞれの放射性原子が自然の中にあるものかあるいは原子炉内で作られるかという形成過程の違いからくる微粒子を形成するかを問題とすべきである。被曝の具体性すなわち、放射線の行う電離の空間的密度、時間的継続性が被曝の具体性を与えることとなり、重大な考察対象である。

【4】微粒子は水溶性と非水溶性に分かれる。これは体内で単独の原子(イオン)として存在するのかあるいは微粒子のままかどうかという、体内での被曝の具体性がさらに問題となる。

【5】電離を具体的に考察すると同一細胞が2重3重に電離作用を受けるかどうか、微小領域での電離の密度が、修復機能の成功率に関わります。人工放射能原子が加わるとリスクが相乗効果となるのが良く分かる。カリウム40の放射線と修復作用がバランスを保っている状態に新たな人工放射能が入り込むことは量としてのバランスを崩すだけでなく微小領域での電離密度の増加がもたらされる。これらが大問題なのである。

4.免疫力をダムの大きさに例え、被曝の量を水量に例える
カリウム40の放射線と修復作用がバランスを保っている状態に新たな人工放射能が入りバランスを崩すのである。いわばダム(人体の修復能力)に水(K40の放射線数)が満杯に蓄えられているところに新たに水(人工放射線数)が加わると、新たな水の量がたとえ少なくとも水はダムから溢れてしまうのである。

それに似た状況が放射線と修復力の間の関係である。

5.免疫力の大小
その際、ダムの容量が水位に対して余裕があるか、あるいは一杯いっぱいであるかが、免疫力の強さの違いの表現である。ダムに対しての水位が満杯な状況は免疫力が低く、人口放射能の害を受けやすい。ダムに対して通常、水位が低い場合は人工放射能が加わっても余裕があり、放射能に耐える力がある、すなわち免疫力が高いのである。放射線に対する免疫力はピンからキリまであるのであり、一番弱い人を保護できる基準が必要なのである。

6.カリウムポンプ、ナトリウムポンプ
自然状態でカリウムは微粒子を形成することは絶対無い。したがって、放射性カリウム原子が集合して放射性微粒子をなすことはない。極めてイオンになりやすく、原子がイオン状態となって高い水溶性を示す。

カリウムは細胞内と細胞外に分布するが、細胞内のカリウム濃度を細胞外と比較すると、細胞外が体液1リットル中に4ミリ当量であるのに対して細胞内では140ミリ当量であり、圧倒的に細胞内に偏って存在する。(等量:アボガドロ数の原子の集合。アボガドロ数:6x10の23乗個。)

この濃度比を保つメカニズムにカリウムポンプが知られる。関連するポンプとしてナトリウムポンプがある。ナトリウムはカリウムと逆に細胞外の方がイオン濃度が高い。細胞内および細胞外に対して、イオン濃度で15ミリ当量および140ミリ当量である。

カリウムは細胞内で高濃度であるが、特定の臓器に集中して存在することは無い。体内すべての細胞にカリウムおよびナトリウムポンプが作動している。カリウム40は体中にあまねく存在し、ベータ崩壊をする(この際電子捕獲は無視して議論している)。この被曝状況は外部被曝の場合のガンマ線被曝の状況と共通点が大きいのである。

7.体中偏り無く存在するか、それとも臓器に蓄積しやすいか
カリウム40だけが集合したり微粒子になることはない。カリウムの1万分の1程度がカリウム40であり、自然のカリウムは高温になりその後冷却されるというようなプロセスは無いので微粒子となることはない。

それに対して原爆あるいは原子炉から放出された放射性物質は高温になるプロセスを経ているので微粒子を形成する。微粒子が水溶性であか不溶性であるかは体内に微粒子が入ると大きな違いが生じる、水溶性の場合は血液その他の体液に溶解し、原子(イオン)1個の状態となる。

多くの場合微粒子は不溶性である(七條和子氏オートグラフィー写真、フクシマ放出の微粒子解析)。不溶性の場合は体内でも微粒子のままでいる。海水中のウランの場合もウランが集合して微粒子をなすことはない。これに対して劣化ウラン弾のウランは燃え上がり、エアロゾールとなり、微粒子を形成して体内に入る。明確にウラン酸化物の微粒子となる。この存在形態の違いがリスクの違いを裏付ける。劣化ウラン弾の場合には発がんなど大きな健康被害が記録されるが、海水ではそのような被害は生じない。

不溶性微粒子は直径が0.1μm程度ならば、細胞膜を潜り抜けるという。カリウムポンプ等に紛れてセシウムイオンが細胞内に入るかどうかというメカニズムと根本的に異なるメカニズムで数千億個の原子があるのが微粒子であるが、腎臓などの臓器に蓄えられることがバンダジェフスキー等により報告されている。蓄積されると全体の濃度が低くても臓器などの密度は高くなるのである。
この際カリウム40のベータ線1本はおよそ600個の細胞を被曝し、かたやセシウム137はおよそ200個の細胞を被曝させる。放射線を発する源の微粒子(あるいは原子)が細胞内部にあるか外部にあるか、被曝被害には大した違いをもたらさない。

バンダジェフスキー氏によれば、セシウム137は明確に様々な臓器に蓄えられ、臓器に放射線被曝を与える。このほかストロンチウムは骨に親和し造血作用を壊すことなどが知られている。

8.微粒子の周囲の電離状況:原子1個の場合の被ばく状況とは大違いー放射性微粒子の場合はその周囲に分子切断の密度の高い領域を形成する
非常に流動性の良いカリウムは特定の臓器に蓄積集中することなく体内に均一に分布するという仮定が正確に成り立つ。カリウム単独の場合、それぞれの放射線飛跡が重なることはほとんどない。カリウムのベータ線の飛程はおよそ3ミリメートル程度で1本のベータ線で3万件ほどの電離を生じさせる。

等方的に飛跡が走るとしてもし4000ベクレルの放射線が隙間を開けることなく連続して発射されると仮定するとおよそ1辺が50mm弱のサイコロとなる。身体のサイズはそれに比して十分大きいので、毎秒発射されるカリウムのベータ線は決して重なることは無く、毎秒修復されていく。体内で4000ベクレルあってもベータ線の飛跡が重なり合うことはほとんどないのである。

ベータ線の電離の間隔はアルファ線の500倍から1000倍あるので、1本1本のベータ線が離れているところで発射されると電離(分子切断)が1カ所の周囲に密集することはない。言い換えるとカリウム40だけの場合は、切断場所が1個1個孤立している状態で分子切断がなされ、それが刻々と修復されていくのである。このことが核分裂によってまき散らされた放射性微粒子が体内に入った場合と異なる被曝状態すなわち電離状態なのである。

セシウムが微粒子を構成しない場合でもカリウムので1本の放射線の飛跡とセシウムの放射線飛跡が交差したり重なったりすることは十分可能性があることなのである。

セシウムの放射線飛跡が交差したり重なったりすることのもう一つのさらに重要なメカニズムは放射性原子が放射性微粒子を構成することによる。放射性微粒子の直径を1μm、その微粒子の5%がセシウム137であると仮定する。セシウムの物理的半減期は30年であるので、簡単な計算の結果毎秒約37本のベータ線が発射される。これは同じ中心からその周囲に発射されるのである。1日経過するとこの中心から発射される放射線数は320万本の放射線がこの1点から発射される。時間的にも微粒子の周囲での電離は蓄積されるのである。

このように集中した被曝を修復することは全くバラバラに孤立して被曝した状態を修復するのとは異なり、修復の困難さが増す。すなわち健康被害が露わに生じる可能性を増加させる。

9.被曝を具体的に科学することが人工放射能被害を明快に理解する道
微粒子の周囲には電離の集中した領域が形成される。

(臓器に蓄積されるかどうか)カリウム40は臓器には蓄積されない。それに対し、セシウムはまんべんなく臓器に蓄積される(バンダジェフスキー)。ストロンチウムは骨に親和性があり骨に蓄積される。プルトニウムやウランも同様であり、生命機能をつかさどる臓器に対するリスクが集中する。臓器に蓄積されるのは、放射線がその臓器に打撃を集中するので、臓器の機能障害を疾患として発病させる可能性を高める。

以上のような総合的な電離の場所や分布状況さらに時間的蓄積を考慮することが被曝のリスクを語る上で重要である。

単純に線量だけを比較して被曝のリスクを語れると思ったら大間違いである。

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