私が体験した東日本大震災のなかでクレジットカードにまつわる話で印象に残っていることは、たった2つしかないです。

■最悪だったポケットカード株式会社

東日本大震災追悼ろうそく

1つ目。東日本大震災…そして福島原発事故の後、私は避難したため避難所や短期提供の民間アパートを転々とすることになった。東日本大震災から半年以上が過ぎようとする頃だったと思う。やっとのことで定住できるアパートに巡りあった。そしてクレジットカードを発行してもらっていた、いくつかのクレジットカード会社に住所変更の電話連絡をした。

このうち1社だけ直ちにクレジットカードの利用をその場で停止すると通告してきた。ファミマTカードを発行しているポケットカード株式会社。もちろん滞納は一度たりともしたことは、ない。停止理由は定職についていないから。私は弁解した。避難所や短期の民間アパートを転々として、やっとのことで安定して貸してくれるアパートを見つけた。住所がきちんと定まっていなかったら就職なんてできないじゃないですか。

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それに、クレジットカードの利用を直ちにで停止するということは公共料金など定期的にクレジットカード払いにしているものがあれば滞納になってしまいますよね?ポケットカード株式会社の電話窓口の男性は、その通りです、と言う。そして滞納になった場合は、ご自分で連絡をとって下さいと言う。

私は、着の身着のまま避難したことや、持ってこれたのは車とパソコンと通帳印鑑だけだ、地元銀行を使っていたからこの隣県では記帳もできないし…どの料金をどのクレジットカードで定期払いにしていたか調べる資料は自宅にあるため正確には調べれないという話や私だって失業したくて失業したわけじゃない、東日本大震災と何より福島原発事故によって失業することになった、など自分の身の上やプライバシーのことまで話して今、停止されると非常に困る、何とか停止するのを待ってほしいと説得しました。

私の話が終わると、無言で話を聞いていたポケットカード株式会社の男性は一言「お仕事についていないのですから仕方ないですね」とクレジットカードは今すぐ停止する旨の結論を事務的な口調で私に次げました。その口ぶりは「犯罪者なんだから刑務所に入るのは仕方ないですね」とでもいうように私の胸に深く突き刺ささりました。私は、この出来事を一生忘れることはないし、生まれ変わっても憶えているかもしれない。

こりゃダメだと諦めた私は「ポケットカードのクレジットカードを今すぐ解約します。すぐ手続きをお願いします」と伝えました。

そして解約手続きについてやり取りがあり、最後にポケットカード株式会社の男性社員はダメ押しのように「ポケットカード株式会社のクレジットカードで定期的に引き落としになっているものがあればご自分で連絡をとって下さい。いままでご利用ありがとうございました」と言い残して電話を切りました。

今考えると馬鹿げた話ですが、私は4年近く…このポケットカード株式会社のクレジットカードを一番頻繁にメインカードとして使ってきました。私の目は完全に節穴でした。

私は物凄く悔しかったので、同時期に住所変更した避難者達にクレジットカード会社の対応を聞いてみました。

すると10社のクレジットカード会社(楽天カード、イオンカード、セゾンカード、tsキュービックカード、三菱UFJニコスなど)を調べることができ、直ちにクレジットカードの利用停止を通告してきたのはポケットカード株式会社ただ1社だけでした。しかも私以外にもポケットカード株式会社から利用停止の通告を受けていた避難者がいたこともわかりました。これ以上、被害者が出ないよう…これは、いつか必ず記事にして公開しなくてはと思いました。災害時にカード停止されると泣きっ面に蜂…かなりキツいですので。

他の避難者達に話を聞くと他のクレジットカード会社は、罹災証明書片手に行き場もなくてヒーヒー言ってる避難者を大目にみてくれたのです。むしろカード会社の人からねぎらいや慰めの言葉を不意に言われて、泣きそうになったという話が多かったです。

地震大国である日本で、災害が原因で失業する確率は、誰にでもに等しくあると、私は思います。

その時、あなたがもしポケットカード株式会社のクレジットカードをメインクレジットカードとして使い公共料金や保険料の引き落としをしていたとしたら、私と同じように激しく動揺し、そして深く後悔することになるかもしれません。

あと確かにファミマTカードはTポイント貯めるには悪くないし、公共料金や保険の定期的な引き落としに使わないサブのクレジットカードとして使うほうを私は否定しません。もし失業状態で、やむなくポケットカード株式会社に電話せざるを得ない場合でも、近くのファミマでTポイント全部使ってしまえばカード停止されても損はしないですから。

ただポケットカード株式会社は血も涙もないので、公共料金や保険料などの引き落としなどメインのクレジットカードとしては絶対に使わないほうか良いと個人的には思います。

■東日本大震災の被災地では現金が最強だった

クレジットカードより現金?

2つ目。東日本大震災クラスの災害現場ではクレジットカードやら電子マネーなんかは使えなくなることもある。使えなくなる理由は簡単で電線や電話線が切断され携帯電話の電波塔も被害を受ければコンビニでさえ、電卓片手に現金のみでの販売になる。

銀行のATMも被害を受けていて電源が消えている。キャッシュカードや預金通帳が手元にあっても、肝心の現金が引き出せない。今…手元の財布の中にある現金の額が、その後の避難などの明暗を分けた地域もある。私の生活していた地域もそうだった。

私の財布の中には幸い、5千円札が一枚と小銭が少しあった。

この5千数百円が、その後何に化けたかと言えば、まず、コンビニで焼き肉カルビ弁当と温かい缶コーヒー、ホッカイロを買った。全部で1,000円前後。コンビニでは、どこからかやけにデカい電卓を持ち出して代金を計算してくれた。2011年3月11日は日差しは春の陽気だったが、風は冷たく大粒の雪が空を舞っていた。

市街地にある会社の入ったビルで被災した私は、これから30分自動車を運転して田舎にある自宅まで山をいくつも越え、一級河川の支流にかかった小さな橋を何度か渡らなければならない。

山の斜面が土砂崩れを起こして道を塞いでいたり、橋が津波で流されていたり、橋が落ちてなくなっているたび別ルートを探して遠回りするしかない。

ガソリンメーターを見ると幸いガソリンは、まだ半分あるが最悪、余震で道路が寸断されてガソリンがなくなれば暖をとる方法はホッカイロしかない。その時のためにとっておこう。

焼き肉カルビ弁当は、遭難するか、自宅に無事帰れたら食べることに決めた。何事も目標があるほうが頑張りがいがあるから。

自動車のエンジンをかけヒーターをつけ車内が暖かくなるのを待った。冷えきった車内で寒くてぶるぶる震えながら、温かい缶コーヒーを両手でしっかりと握ってかじかんだ手のひらを5分ほど暖めホッカイロがわりにした。

車をゆっくり走らせるとすぐラジオをつけた。その時、はじめて福島県だけでなく宮城県や岩手県まで広範囲の被災だったことがわかった。

交差点の信号は、壊れて点かない所と問題なく動いている所が半々くらいだった。誰もが恐る恐るハンドルを握って、初めて海に泳ぎ出したウミガメの子供の様に、びくつきながら慎重に運転していた。

道路は所々、隆起したり陥没したりして波打ってはいたが運転は順調、土砂崩れはどれも小規模で車はみな自発的に片側交互通行をしている。橋も一ヶ所落ちていたので迂回したが他はどれも無事に通過できた。

こんな感じで、通いなれたいつもは30分足らずの通勤道路を2時間かかって、あと山を超一つ越えれば自宅のある住宅街が見えてくるところまできた。

山の麓には、昔は茶屋だったという今はガソリンスタンドがある。ここに来るまで何軒ものガソリンスタンドがあったが臨時閉店か…すでに長蛇の列が出来ていた。

このガソリンスタンドはどうだろう?車は1台も止まってなけど、別に地面にヒビが入ったり窓ガラスが割れるなどの被害はない。閉店中の看板もないし、ロープで入口も塞いでいないので給油する時のように普通に敷地内に侵入してみる。

このガソリンスタンドはセルフでない。田舎なのでクレジットカードも電子マネーも使えず、現金のみだ。1分くらい待つと、なんと事務所の扉が開きいつものように店主が「いらっしゃい!」と言って近づいてきた。

私は驚きつつも尋ねた「きゅ、給油できるんですか?」

店主は日に焼けた顔でやけに嬉しそうに笑った「一応、今のところはできるよ」

私は迷わず「レギュラー現金で3000円分お願いします!」と店主に告げ、すっかり冷たくなった缶コーヒーを開けて飲んだ。やけに甘く感じだ。

缶コーヒーを飲み終えると、丁度ガソリンの給油も完了し、私は現金で3,000円払ってガソリンスタンドを後にした。

この10分後。私は、変わり果てた自宅や故郷の風景を目の当たりにして唖然とすることになるが、そのことはまた別の機会に書きたいと思う。

東日本大震災当時、私の財布の中にあった5千数百円のうち最後まで残った千円は、翌々日のお昼、中華レストランのラーメン・チャーハンセットの代金として使った。田舎にある、この手の個人経営の飲食店では今もそうだと思うが、クレジットカードや電子マネーに対応しているお店は少ない。

なお私は、別にクレジットカードや電子マネーを否定しているわけではない。私の財布の中にもクレジットカードは何枚かあるし、スマホにはおサイフケータイのアプリが入っている。普段の買い物もクレジットカードが使えれば使うことが多い。ただ、災害時に最強の決済手段は現金なので、常時財布のなかには1万円札が1枚はあるほうがいいよ、という話でした。

■熊本地震被災者・避難者の方へ

熊本地震の影響によって公営住宅などに引っ越しされた方で、転居によって失業されてしまった方も多いと思います。クレジットカード会社へ住所変更の連絡をした際に、クレジットカード会社から「勤務先の変更はございませんか?」と聞かれる場合があります。

クレジットカード会社の中には上記の東日本大震災の体験談にあるように失業したとわかると直ちにクレジットカードを停止してくる会社もあるのでアルバイトでもパートでもいいので必ず就職してからクレジットカード会社に連絡するようにしましょう。

あと市町村によっては被災者を市町村役場の臨時職員(半年や1年の期限付き雇用)として雇ってくれる場合もありますので「被災者を対象とした求人はないか?」避難先の市町村に聞いてみましょう。


■あとがき

なぜクレジットカードの記事が…お堅い原発ブログに掲載されるはめになったのか?2015年6月20日。当ブログのアシスタントを今年3月で卒業されたクレマニさんよりクレジットカード申し込み審査比較ナビに掲載する原稿…クレジットカードのことなら何でもいいので書いてくれないかな?とお話があったのでビールを飲みながら上記の東日本大震災当時の体験談(震災後に某クレジットカード会社にカード停止食らった話&被災地でクレジットカードが使えなかった話)を夜中に書いて「掲載可能か審査お願いします!!!」と酔った変なハイテンションのメールを2015年6月21日。明け方に送ったところ…。
ビール
1時間もしないうちにクレマニさんからの返信があり「クレジットカードっていいよね!ということを書くブログなんだし・・・今後そのクレジットカード会社からお世話にならないとも限らない。お世話になってるクレジットカード会社から、この記事削除してもらえないか?と言われたら私はこの記事を削除せざるを得ない。だから、この記事の為にもクレジットカード申し込み審査比較ナビには掲載しないほうがいいと思う」とやんわり掲載拒否をされました(ToT)

行き場のなくなった、このボツ原稿…せっかく書いたのにお蔵入りさせるのはもったいないし、かといってブログのトップページに堂々と新着記事で掲載すると場違いで一見「ブログ誰かに乗っ取られた?」と読者の皆様から問い合わせ殺到になってしまうので2012年の日付にして過去記事に日陰でひっそりと公開します。

なんか切ない(T^T)でも、改めて自分で読んでみてクレジットカードのことをまったく誉めてない記事だからしかたないのかも…と今は思う。これでは確かに、さよならクレジットカード!現金主義者バンザイ\(^o^)/の記事だ。なにより何か暗い。まあ私にとっては正直、辛い体験だったので暗くなっちゃうのはしかたないのだけれど。

そうは言ってもクレジットカードの存在を全否定してるわけではないのです。最近、楽天市場での買い物が増えてきたので楽天カードも作りましたし、ちゃんと気を遣って?楽天カードの入会審査の前にクレマニさんの楽天カードの審査とは?を読んで申し込みしましたし。

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