希望の党の小池百合子代表の後ろ姿

2017年10月6日、小池百合子代表率いる新党「希望の党」が2017衆院選の公約を発表しました。※1

希望の党は、その公約の4つ目に『原発ゼロへ』と題し…あたかも希望の党が脱原発を掲げる政党であるかのように脱原発を自称し有権者を惑わせています。以下の内容です。

希望の党
2017年衆議院選挙公約『原発ゼロへ』
「2013年9月16日から、約1年11か月は稼働原発ゼロでした。今現在稼働している原子力発電所は、全国で(57 基中)5基。原発が、日本の将来を担うエネルギーだと私たちは考えません。日本に残すべき原子力技術の保持方法を確保した上で2030年までに原発はゼロへ」
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一見すると脱原発をうたっているいるように錯覚しますが、希望の党の2017年衆議院選挙公約の最後にある政策集に書かれた脱原発の3項目の具体的内容を読めば希望の党が掲げる「原発ゼロ」の言葉の中身は、空っぽの…まやかしであることがわかります

希望の党2017年衆議院選挙政策集
「東京電力福島第一原発事故を経験した我が国は、新規原発の建設をやめ40年廃炉原則を徹底する方向で「原発ゼロ」の2030年までの実現を目指す」
希望の党2017年衆議院選挙政策集
「原発の老朽度など総合的な安全性を原子力規制委員会が厳しく確認するとともに、確実な住民避難措置が取られることを前提に原発の再稼働を認める」
希望の党2017年衆議院選挙政策集
「将来政権交代が起きても原発ゼロの方針が変わらぬよう、幅広く与野党合意を形成し原発ゼロを憲法に明記することを目指す」

この希望の党が掲げる脱原発の政策集3項目がいかにデタラメか?

1つ1つ見ていきましょう。

希望の党2017年衆議院選挙政策集
「東京電力福島第一原発事故を経験した我が国は、新規原発の建設をやめ40年廃炉原則を徹底する方向で「原発ゼロ」の2030年までの実現を目指す」

40年廃炉原則を徹底する…この文章、逆から読めば運転開始から40年未満の原発は廃炉にしないと言っていることに気づきましたか?

そして40年未満の原発は廃炉にしない。つまり再稼働するつもりだからこそ「原発ゼロ」の実現を2030年までと期限を今から13年も先延ばしにしているのです。

ところで2017年10月16日今日現在、日本の現役で運用中の原発はで全部で42基ありますが、そのうち希望の党の言う「40年廃炉原則を徹底」運転できなくなる原発はいくつあると思いますか?※2
日本の現役で運用中の原発42基の地図2017年10月16日現在

答え。「40年廃炉原則を徹底」することで運転できなくなる原発…いわゆる老朽原発で、運転開始から42年高浜原発1号機41年高浜原発2号機40年美浜原発3号機たった3基だけなんです。

原発の運転開始からの年数
(2017年10月16日現在)
原発名 運転年数 現状 事業者
高浜原発1 42年 運転延長 関西電力
高浜原発2 41年 運転延長 関西電力
美浜原発3 40年 運転延長 関西電力
東海第2 38年 稼働予定 日本原電
大飯原発1 38年 未定 関西電力
大飯原発2 37年 未定 関西電力
玄海原発2 36年 未定 九州電力

つまり日本の現役で運用中の原発42基のうち残り39基…実に92%の原発は、運転開始から40年たっていませんので40年廃炉原則には引っかからず堂々と再稼働できるんです。

さらに希望の党が掲げる…この脱原発の政策集1項目にある「原発ゼロ」の2030年までの実現は、科学的根拠のないデタラメな期限です。

希望の党2017年衆議院選挙政策集
「東京電力福島第一原発事故を経験した我が国は、新規原発の建設をやめ40年廃炉原則を徹底する方向で「原発ゼロ」の2030年までの実現を目指す」

「原発ゼロ」の2030年までの実現…つまり2030年の期限が到来するまでは原発を再稼働して堂々と運転できるわけです。今から13年間も、です。

では2030年まで日本には、原発を全電源喪失に追い込むほどの巨大地震は来ないのでしょうか?

日本は世界の面積の1パーセントもないのに世界で起こる地震の約10パーセントが集中する地震多発地帯です。日本政府の地震調査委員会が発表した全国地震動予測地図の付録の資料から世界の地震の震源分布地図(マグニチュード5以上のみ)を見てみましょう。※3
世界の地震の震源分布地図(マグニチュード5以上のみ)
赤い小さな点が震源ですが、日本は地震があまりにも多すぎて日本列島自体が全く見えません。

このように世界有数の地震大国の日本は毎年、莫大な予算をかけて全国地震動予測地図という30年以内に大地震に襲われる確率を記載した地図を作成し地震調査委員会が発表しています。
日本全国地震動予測地図2017年最新版(震度6弱以上)
この日本地図を見ると、最新の科学的知見があれば大地震は予測や予知できる…地震のリスクは想定することができると誤解してしまう方もいるかもしれません。

しかし2016年4月16日の熊本地震で震度6強に襲われたはずの熊本県熊本市を全国地震動予測地図がどう予測していたか?と言えば今後30年以内震度6弱以上の地震に襲われる確率は7%とむしろ他の県庁所在地と比較すると震度6弱以上の地震が来る確率は低いと予想されていました。

この点について日本政府の地震調査委員会の平田直委員長はこう釈明しています。※4
地震調査委員会の平田直委員長

地震調査委員会の平田直委員長
「(日本には大地震が起こる)確率が0%の地域はなく、どこでも大地震が起こる恐れがある」

繰り返します。2030年まで日本には、原発を全電源喪失に追い込むほどの巨大地震は来ないのでしょうか?

日本共産党や社民党のように本気で脱原発をやろうとしている政党は、こんな…まがい物の期限なんか口にしません!

日本における大地震のリスクを考えれば、今すぐ!日本国内にある原発のすべてを停止させ原発ゼロを実現すべきです。

なにより原発がなくても、日本の電気は足りています。日本の発電電力量の構成比を見てみましょう。なお2016年4月1日から電力小売全面自由化により統計がとれなくなりましたので最新版は2015年です。※5

日本の発電電力量の構成比2011~2015年
電源 2011 2012 2013 2014 2015
天然ガス 39% 42% 43% 46% 44%
石炭 25% 27% 30% 31% 31%
石油 14% 18% 14% 10% 9%
水力 9% 8% 8% 9% 9%
再生エネ 1% 1% 2% 3% 4%
原子力 10% 1% 1% 0% 1%

日本の発電電力量に占める原発の割合は、福島原発事故後は0~1パーセントにすぎません。今すぐ!原発を止めても日本の電力は足ります。

希望の党2017年衆議院選挙政策集
「東京電力福島第一原発事故を経験した我が国は、新規原発の建設をやめ40年廃炉原則を徹底する方向で「原発ゼロ」の2030年までの実現を目指す」

今すぐ!原発ゼロを実現できるのに…わざわざ今から13年も先延ばしした期限「原発ゼロ」の2030年までの実現を口にする希望の党の、いったいどこが脱原発でしょうか?

続いて希望の党が掲げる…この脱原発の政策集2項目を見てみましょう。

希望の党2017年衆議院選挙政策集
「原発の老朽度など総合的な安全性を原子力規制委員会が厳しく確認するとともに、確実な住民避難措置が取られることを前提に原発の再稼働を認める

希望の党は、原発の再稼働を認める

これで希望の党原発推進勢力であることがはっきりしましたね。

本物の脱原発政党である日本共産党や社民党は、原発再稼働など認めません!※6※7

日本共産党2017年総選挙政策
『「原発ゼロ」の政治決断を行い、原発の再稼働を中止し、すべての原発で廃炉のプロセスに入ります。再稼働させた原発は、停止します。原発の輸出をやめます。』
社民党衆議院選挙2017政策
『原発の新増設はすべて白紙撤回し、既存原発の再稼働に反対します。』

最後に希望の党が掲げる…この脱原発の政策集3項目を見てみましょう。

希望の党2017年衆議院選挙政策集
「将来政権交代が起きても原発ゼロの方針が変わらぬよう、幅広く与野党合意を形成し原発ゼロを憲法に明記することを目指す」

まず希望の党が言うように原発ゼロを憲法に明記する追加するには、日本国憲法の改正が必要になります。

日本国憲法は、日本の法体系の頂点に君臨する最高法規…つまり一番偉い法です。その最高法規たる日本国憲法を改正するためのハードルは高く、日本国憲法が1947年5月3日に施行されてから今年で70年たちますが一度も改正されたことはありません。

ところで脱原発を実現するには必ず原発ゼロを憲法に明記することが必要でしょうか?

先ほどもご紹介しましたが日本は福島原発事故後に事実上、原発ゼロをほぼ実現していたのです。

日本の発電電力量の構成比2011~2015年
電源 2011 2012 2013 2014 2015
天然ガス 39% 42% 43% 46% 44%
石炭 25% 27% 30% 31% 31%
石油 14% 18% 14% 10% 9%
水力 9% 8% 8% 9% 9%
再生エネ 1% 1% 2% 3% 4%
原子力 10% 1% 1% 0% 1%

福島原発事故後の2012~2015年の間、日本の発電電力量に占める原発の割合は0~1パーセントにすぎませんでしたから。

つまり原発ゼロを実現するために憲法に明記する必要性など、一切ないのです。

「希望の党」の小池百合子代表は改憲論者であり、憲法を改正するための口実として原発ゼロを利用しているにすぎないのです。

ところで原発ゼロの方針が将来にわたって変わらぬようにするために必要なことは何でしょうか?

もちろん小池百合子代表が言うように原発ゼロを憲法に書くことでも、法律に書くことでもありません。

いくら憲法に明記しても、そもそも憲法を守らない安倍晋三政権のような存在が再来すれば、憲法は居間に飾られた掛け軸のように無視されてしまいます。

それは憲法違反の法律である戦争法が2015年に成立してしまったことからも…わかるでしょう?

原発ゼロの方針が将来にわたって変わらぬようにするために必要なのは、たった1つだけ、すごく簡単です。あなたが本物の脱原発政党である社民党や日本共産党を支持し、投票し続けることです。

まがい物の自称、脱原発の希望の党などに騙されることなく、です。

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※1https://kibounotou.jp/pdf/policy.pdf
※2http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2016pdf/20161003055.pdf
※3http://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2017/
※4http://www.yomiuri.co.jp/science/20160610-OYT1T50066.html?from=ycont_top_txt
※5http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/pdf/kaiken_s3_20160520_1.pdf
※5http://www.fepc.or.jp/library/data/index.html
※6http://www.jcp.or.jp/web_policy/2017/10/2017-senkyo-seisaku.html#_s08
※7http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2017/commitment.htm